SGLT2阻害薬が2型糖尿病患者の腎結石リスクを低下させる可能性 137万人超を調査
2型糖尿病患者は腎結石リスクが高いことが知られている。一方、SGLT2i使用によって尿の成分が変化し、腎結石リスクが低下する可能性がある。ただし、SGLT2iの使用と腎結石リスクとの関連についての米国におけるリアルワールドデータは少ない。
Paik氏らは、米国の民間医療保険のデータを用い、SGLT2iまたはGLP-1受容体作動薬(GLP-1RA)、DPP-4阻害薬(DPP-4i)が新規処方されていた、18歳以上の成人2型糖尿病患者137万8,462人を対象としたコホート研究により、この点を検討した。
まず、GLP-1RAとの比較では、傾向スコアマッチング法により背景因子に差のない71万6,406人(平均年齢は両群ともに61.4±9.7歳で、女性の割合はSGLT2i群51.4%、GLP-1RA群51.2%)を1対1の割合で抽出し(各群35万8,203人)、中央値192日(四分位範囲88~409)追跡した。
その結果、腎結石の1,000人年当たり発症イベント数は、SGLT2i群が14.9、GLP-1RA群は21.3であり、前者の方が有意に低リスクだった〔ハザード比(HR)0.69(95%信頼区間0.67~0.72)、リスク差(RD)-6.4(同-7.1~-5.7)〕。
次に、DPP-4iとの比較では66万2,056人(平均年齢はSGLT2i群61.8±9.3歳、DPP-4i群61.7±10.1歳で、女性の割合は同順に47.4%、48.6%)を1対1の割合で抽出し(各群33万1,028人)、同様に解析した。
その結果、SGLT2i群の発症イベント数は14.6、DPP-4i群は19.9であり、前者の方が有意に低リスクだった〔HR0.74(0.71~0.77)、RD-5.3(-6.0~-4.6)〕。
性別や人種/民族、慢性腎臓病の既往や肥満の有無で層別化したサブグループ解析から、それらの因子にかかわらずSGLT2i群で、腎結石リスクの低下が認められた。年齢の影響については、70歳未満と以上とに二分して比較した場合、70歳未満でSGLT2i使用による腎結石リスク低下がより大きいことが示された〔HR0.85(0.79~0.91)、RD−3.46(−4.87〜-2.05)、交互作用P<0.001)〕。
著者らは、「われわれの研究結果は成人2型糖尿病患者において、GLP-1RAやDPP-4iの使用に比べてSGLT2iの使用が腎結石のリスクを低下させる可能性を示している。この知見は、腎結石発症リスクのある患者に血糖降下薬を処方する際、薬剤選択の判断に役立つのではないか」と述べている。
なお、数人の著者が医薬品関連企業との利益相反(COI)に関する情報を明らかにしている。
[HealthDay News 2024年2月8日]
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