2型糖尿病の有無を問わず慢性腎臓病患者において、SGLT2阻害薬としてはじめて有益性を示す
DAPA-CKD試験は、2型糖尿病合併の有無を問わず、慢性腎臓病ステージ2から4、かつアルブミン尿の増加が確認された4,245人の慢性腎臓病患者を対象に、フォシーガ10mg投与による効果と安全性をプラセボと比較検討した、国際多施設共同無作為化二重盲検比較試験。日本を含む世界21ヵ国で実施された。
主要複合評価項目は、2型糖尿病合併の有無に関わらず慢性腎臓病を患っている患者における、腎機能の悪化もしくは死亡(eGFRの50%以上の持続的低下、末期腎不全への進行、心血管死、腎不全による死亡)のいずれかの発生と定義されている。
治験実施計画書およびDMC Charter(データモニタリング委員会の設置目的、役割や責任、運営手順の詳細を規定した文書)に記載してある中止(有効性)のガイドラインでは、有効性と安全性データの全体を評価し、同委員会が試験開始当初の想定をはるかに上回る有効性が認められた場合は、試験中止の勧告を検討することになっている。
試験の詳細な結果は、今後の学会で発表される予定。また同社は、予定を前倒ししての申請について、各国の当局と協議を開始する。
フォシーガは2019年8月、米国食品医薬品局より、慢性腎臓病患者の腎不全の進行遅延、心血管死ならびに腎不全による死亡の予防を目的とした開発に対し、ファストトラック指定を取得している。また心不全の治療に対しては、米国食品医薬品局が優先審査品目に指定、欧州医薬品庁では薬事承認審査が進行中で、その他の地域でも同様の審査が進行中としている。
「この試験に携わることができとても光栄に思います。私たちはデータモニタリング委員会の勧告に喜んでおり、この結果を医療従事者や慢性腎臓病患者と共有できることを楽しみにしています」と、同試験とExecutive Committeeの共同代表者であるUniversity College LondonのDavid Wheeler教授、およびUniversity Medical Center GroningenのHiddo L. Heerspink教授は述べている。
なお、日本で承認されているフォシーガの適応症は「2型糖尿病」および「1型糖尿病」。現時点で、フォシーガにおいて慢性腎臓病および慢性腎不全の適応を取得している国および地域はない。
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