2型糖尿病の病初期にも網膜の微細な変化が生じる

2026.01.13
2型糖尿病の初期段階で、網膜のわずかな菲薄化などの変化が生じることを示唆する研究結果が報告された。コインブラ大学(ポルトガル)のSara Oliveira氏らが行った動物実験の結果であり、詳細は「Eye and Vision」12月号に掲載された。

 糖尿病網膜症は、過去20年ほどの間にいくつかの新たな治療オプションが開発されてきたにもかかわらず、依然として成人の失明原因の主要な一角を占めている。その一因として、糖尿病の発症から網膜症の診断までに年単位のタイムラグがあり、その間に網膜の分子・細胞レベルでの不可逆的な変化が生じてしまっており、網膜症診断後の治療では十分に病勢を制御できないことの影響が想定される。しかし、現在の臨床で一般的に使用可能な蛍光眼底造影、光干渉断層撮影(OCT)などの検査では、病初期の網膜の変化を検出できない。

 一方、Oliveira氏らの研究グループは以前、1型糖尿病モデル動物を用いて、糖尿病発症初期の網膜テクスチャに変化が生じていることを報告している。同氏らは今回、1型糖尿病よりも網膜病変の進行が緩徐であると考えられる2型糖尿病モデル動物でも同様に、病初期で網膜の変化を捉えることが可能かを検討した。

 10週齢のラットを高脂肪食で飼育し、腹腔内にストレプトゾトシンを35mg/kg投与して2型糖尿病を誘発。このプロトコル開始のベースライン、および、4週、8週、12週時点でOCTスキャンを施行するとともに網膜電図のデータを収集。自動OCTセグメンテーション、網膜厚計測、テクスチャ解析を実施するとともに、血液網膜関門の透過性、グリア反応性、神経炎症、ニトロソ化ストレスなどを評価した。

 解析の結果、網膜テクスチャは、内網状層および視細胞内節・外節において変化を認めた。8週および12週時点では、自己相関、クラスタープロミネンス、均一性、相関情報量II、正規化逆差分モーメント、およびテクスチャの合計平均などの指標に、有意な増加または減少が観察された。重要な点として、これらの指標のうち多く(7項目)は、Oliveira氏らが以前に報告した1型糖尿病モデルにおいても、変化が確認されていたことが挙げられる。また、今回の2型糖尿病モデルでの検討では、網膜の軽度菲薄化と機能低下が認められ、タイトジャンクション蛋白の免疫反応性の軽度低下を伴っていた。ただし、血液網膜関門の破綻は認められなかった。

 この結果について、論文の上席著者である同大学のAntónio Francisco Ambrósio氏は、「OCT画像の微細な構造信号を捉えるというこのアプローチは、2型糖尿病の最初期段階での網膜の変化の過程を解明する新たな手法となり得る。またこのアプローチは、永続的な視力障害が発生する前に高リスク患者を特定し、早期介入を実現し良好な転帰を導くという治療上のサポートとなる」と語っている。

[HealthDay News 2025年12月16日]

Copyright © 2026 HealthDay. All rights reserved.
Photo Credit: Adobe Stock

糖尿病・内分泌プラクティスWeb 糖尿病・内分泌医療の臨床現場をリードする電子ジャーナル

医薬品・医療機器・検査機器

糖尿病診療・療養指導で使用される製品を一覧で掲載。情報収集・整理にお役立てください。

一覧はこちら

最新ニュース記事

よく読まれている記事

関連情報・資料