糖尿病の母親の児はてんかん発症リスクが高い

てんかんは小児期に発症することの多い慢性の神経疾患で、認知機能や社会性の発達に影響を及ぼすことがある。てんかんの発症リスクに関する研究は進展しているものの、いまだ約50%程度は原因不明とされている。一方、糖尿病合併妊娠や妊娠糖尿病は高頻度に見られる妊娠合併症であり、児の産科的転帰に影響を及ぼし神経発達とも関連する可能性が示唆されている。しかし、母親の糖尿病と児の神経発達障害、特にてんかんとの関連に関するエビデンスは依然として限られている。また、わずかな先行研究の大半は、病因が異なる1型糖尿病(T1DM)、2型糖尿病(T2DM)、およびGDMという糖尿病のサブタイプを区別せずに検討している。これらを背景としてDriollet氏らは、母親の糖尿病のサブタイプと児のてんかんリスクとの関連性を検討した。
この研究では、カナダで最も人口の多い州であるオンタリオ州において、2002~2018年に院内出生した全ての新生児を対象とする後ろ向き出生コホートのデータが利用された。母子保健記録を2020年3月まで追跡し、Cox比例ハザードモデルにて、母親のT1DM、T2DM、GDMと18歳未満の児のてんかん発症リスクとの関連を解析した。
210万5,553人の児のうち、16万644人(7.6%)が母親の糖尿病に曝露していた(T1DM0.3%、T2DM1.2%、GDM6.1%)。中央値10.2年の追跡期間中に、1万7,853人がてんかんと診断されていた。母親の社会経済的因子と臨床的特徴で調整後、母親の糖尿病に曝露された児は、曝露されなかった児と比較して、糖尿病のサブタイプにかかわらずてんかん発症リスクが有意に高かった(T1DMでは調整ハザード比〔aHR〕1.32〔95%信頼区間1.03~1.69〕、T2DMではaHR1.40〔同1.24~1.58〕、GDMではaHR1.14〔1.07~1.22〕)。
T1DMとT2DMについては、罹病期間が長いほどリスクが上昇する傾向が認められ、T1DMの場合、罹病期間10年未満でのリスク上昇は非有意だった。これら一連の結果は、感度分析として行った定量的バイアス分析でも一貫していた。
著者らは、「本研究の結果は、周産期の母体要因が児のてんかん発症に及ぼす影響に関するエビデンスを強化するものである。若年女性の糖尿病有病率が上昇している現状を踏まえ、母体の糖尿病に曝露した児ではてんかんの早期神経学的徴候を注意深くモニタリングする必要性を検討すべきではないか」と述べている。
[HealthDay News 2026年2月10日]
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