経口セマグルチド、心不全既往のある2型糖尿病患者の心不全イベントリスクを低下 SOUL試験二次解析

SOUL試験において、経口セマグルチドは2型糖尿病患者の主要心血管イベント(MACE〔心血管死、非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中〕)のリスクを低下させることが示されたが、同試験参加者における心不全アウトカムへの影響については不明であった。そこで本研究は、ベースライン時における心不全既往の有無による、心不全イベント、MACE、および安全性に対する経口セマグルチドの効果を評価することを目的として実施された。
本研究は、33カ国444施設で実施された、二重盲検プラセボ対照イベント駆動型第3b相ランダム化比較試験であるSOUL試験の二次解析。対象は、アテローム動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)および/または慢性腎臓病(CKD)を有する50歳以上の2型糖尿病患者であり、ベースライン時の心不全既往の有無に基づいて層別化された。参加者は、標準治療に加えて、経口セマグルチド(最大14mgを1日1回)またはプラセボを投与する群に無作為に割り付けられた。主要評価項目は、事前に規定された心不全複合アウトカム(心不全による入院、心不全による緊急受診、心血管死のいずれかの初発までの時間)とした。
全体で9,650例の参加者(年齢中央値66.0歳、女性2,790例 [28.9%])が無作為に割り付けられ、平均追跡期間は47.5カ月(SD 10.9)であった。全参加者のうち、2,229例(23.1%)にベースライン時の心不全既往があった。その内訳は、HFpEFが991例(全参加者の10.3%)、左室駆出率が低下した心不全(HFrEF)が592例(6.1%)、サブタイプ不明が646例(6.7%)であった。
解析の結果、ベースライン時に心不全既往がある参加者において、経口セマグルチド群はプラセボ群と比較して、心不全複合アウトカムのリスクが有意に低下した(ハザード比[HR] 0.78、95%CI 0.63-0.96)。イベント発生率は、経口セマグルチド群で3.81/100人年、プラセボ群で4.90/100人年であった。一方、ベースライン時に心不全既往がない参加者においては、同リスクの低下は認められなかった(HR 1.01、95%CI 0.84-1.20)。心不全既往の有無による交互作用のP値は0.06であり、統計学的有意差には至らなかったものの、異なる傾向が示唆された。
心不全既往がある参加者におけるサブタイプ別の解析では、HFpEFを有する患者においてリスク低下が顕著に示された(HR 0.59、95%CI 0.39-0.86)。対照的に、HFrEFを有する患者においてはHR 0.98(95%CI 0.70-1.38)であり、明らかなリスク低下は認められなかった。サブタイプ不明の患者ではHR 0.76(95%CI 0.52-1.10)であった。これら3つのサブタイプ間での交互作用のP値は0.14であった。
SOUL試験の主要評価項目である主要心血管イベントのリスク低減に関しては、心不全既往の有無による異質性は認められなかった。心不全既往のある参加者におけるMACEのハザード比は0.83(95%CI 0.68-1.01)、心不全既往のない参加者では0.86(95%CI 0.75-0.98)であり、交互作用のP値は0.77であった。サブタイプ別にみても、HFpEF群でHR 0.68、HFrEF群でHR 0.93と同様の傾向がみられた。
安全性について、心不全既往のある参加者における重篤な有害事象(SAE)の発生率は、経口セマグルチド群で53.8%(594例)、プラセボ群で57.1%(642例)と同程度であり、心不全患者における安全性の懸念は示されなかった。特にHFpEF患者においては、SAE発生率が経口セマグルチド群(46.0%)でプラセボ群(52.5%)よりも低い数値を示した。
本研究結果より、経口セマグルチドは、心不全既往のある2型糖尿病患者において、重篤な有害事象を増加させることなく心不全リスクを低下させることが示唆された。研究結果は、2026年2月2日付で「JAMA Internal Medicine」オンライン版に掲載された。




