2型糖尿病治療薬による認知症リスク低減を検証 SGLT2阻害薬が最も効果が高い可能性 健康科学大学ら

2型糖尿病は認知症のリスク因子として知られている。2型糖尿病治療薬には、血糖降下作用に加え、認知機能低下を抑える可能性が示唆されている薬剤がある。一方で、認知症の発症・進展は抑制しないとの報告もあり、2型糖尿病治療薬に認知症リスク抑制の効果があるか否か、効果があるとすればどの治療薬がより有効なのかについては、これまで十分に解明されていなかった。
健康科学大学、国立長寿医療研究センター、京都医療センターの共同研究チームは、より信頼性の高い知見を得るため、システマティックレビュー・ネットワークメタアナリシスを実施。複数の糖尿病治療薬について認知症リスクの低減を評価した。
研究チームは、認知症リスクに対する糖尿病治療薬の有効性について、文献データベース(PubMed、Cochrane Library、医学中央雑誌Web)を検索し、研究開始から2023年12月31日までに発表された英語および日本語の1,138文献を取得した。この中から、本研究目的に適格な67試験(被験者数408万8,683名)を選んで詳細な解析を行った。67試験の内訳は、単剤療法と対照群(糖尿病治療薬使用なし、プラセボ)の比較3件、単剤療法と追加療法との比較1件、リアルワールドデータ研究63件である。
解析の結果、SGLT2阻害薬、GLP-1受容体作動薬、チアゾリジン薬、DPP-4阻害薬では、対照群と比較して認知症リスクが低下していた。薬剤ごとの効果は、SGLT2阻害薬が最も高く、次いでGLP1受容体作動薬、チアゾリジン薬、DPP-4阻害薬の順であった。メトホルミン、SU薬、グリニド薬、α-グルコシダーゼ阻害薬では有意な関連は認められず、インスリンは認知症リスクの上昇と関連していた。薬剤による有効性の違いについては、さらなる研究が必要だが、血糖降下作用と多面的な作用の相加・相乗が認知症リスク低減に寄与する可能性が想定される。
2型糖尿病治療では個々の患者によって重症度や合併症等が異なるため、最適な治療薬選択はそれぞれの状態に基づく必要がある。本研究の結果は、血糖管理とともに認知症リスク低減の観点から、治療薬選択に新たなエビデンスを提供することが期待される、と研究チームは述べている。
本研究は、健康科学大学健康科学部リハビリテーション学科の教授 田中将志氏、国立長寿医療研究センターの副院長(国立病院機構京都医療センター・内分泌代謝高血圧研究部長兼任) 浅原哲子氏、国立病院機構京都医療センターの客員研究員 加藤さやか氏らの共同研究チームにより実施された。研究成果は、米国専門誌「Diabetes, Obesity and Metabolism」に2025年10月22日付でオンライン掲載された。




