2型糖尿病ではCVDリスクにかかわりなくスタチンが有益

2026.01.20
2型糖尿病患者では心血管疾患(CVD)イベントリスクの高さにかかわりなく、スタチンの処方が良好なアウトカムに関連していることが報告された。香港大学(中国)のVincent Ka Chun Yan氏らによるターゲット試験エミュレーション研究によるもので、詳細は「Annals of Internal Medicine」に12月30日掲載された。

 2型糖尿病患者はCVDリスクが高いことから、スタチンによる積極的な脂質管理が推奨されている。とはいえ、若年者や予測リスクがそれほど高くない患者に対する一次予防でのスタチン使用の意義は確立しておらず、ガイドライン上の推奨も米国と欧州でやや異なる。これまでに行われてきたスタチンによる一次予防の大規模臨床試験は、CVD低リスクの糖尿病患者や若年者は含まれておらず、また既にスタチンがジェネリック医薬品に置き換わっていることから、さらなる大規模臨床試験が今後行われる可能性は高くない。以上を背景としてYan氏らは、英国のプライマリケアのリアルワールドデータを用いて、ランダム化比較試験を模倣するターゲット試験エミュレーション研究を実施した。

 研究には、2005~2016年に2型糖尿病と診断され、CVDや心不全、リウマチ性心疾患、肝疾患、がん、統合失調症、および筋障害の既往のない25~84歳の患者データを利用した。英国で用いられているCVDリスク評価指標であるQRISK3に基づき、向こう10年間のイベントリスクで全体を四つに層別化(CVDイベント予測発生率が10%未満、10~19%、20~29%、30%以上)。各層内でスタチン処方患者と非処方患者を傾向スコアによりマッチングさせた上で10年間追跡し、全死亡やCVDイベントなどの絶対リスク差(RD)と相対リスク(RR)を検討した。安全性に関しては、筋障害と肝機能障害のリスクを評価した。

 解析の結果、QRISK3のどのリスク層においても、スタチンが処方されていた患者は全死亡とCVDイベントリスクが低かった。例えば、予測イベント発生率が最も低い群において、スタチン処方患者は非処方患者に比べて全死亡のRDが-0.53%(95%信頼区間-0.90~-0.08)、RRは0.80(同0.67~0.97)であり、CVDイベントについては同順に-0.83%(-1.28~-0.34)、0.78(0.66~0.91)だった。

 一方、安全性については、CVDイベント予測発生率が10~19%の層においてのみ、スタチンが処方されていた患者で筋障害のリスクがわずかに高まる傾向が認められた(RD0.05%〔0.00~0.13〕、RR1.62〔0.96~2.87〕)。肝機能障害に関しては、どの層でもスタチン処方に伴う有意なリスク上昇は認められなかった。

 著者らは、残余交絡の存在の可能性、一部の入院関連アウトカムが十分に把握されていない可能性、および、スタチンによる血糖値のわずかな上昇の影響を評価していないことなどを限界点として挙げた上で、「CVDイベント予測発生率が低い場合も含め、臨床医は成人2型糖尿病患者全員に対してスタチン使用のメリットを考慮すべき」と述べている。

[HealthDay News 2026年1月5日]

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