糖尿病のある人のBNPはCKD進行と関連 正常範囲内でも値が低いほど腎機能低下リスクが連続的に低下 順天堂大学

2026.03.10
順天堂大学は、糖尿病のある人を対象とした腎機能の自然経過を追跡した観察研究を実施し、心不全の血液マーカーであるB型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)が、慢性腎臓病(CKD)進行と関連することを明らかにしたと発表した。また、その関連は従来の腎臓病マーカーである尿アルブミン(UACR)とは独立しており、さらに、BNPが正常範囲内であっても、値が低いほど腎機能低下リスクが連続的に低下することも確認したとしている。

 現在、腎予後予測にはUACRが推奨されているが、尿検査施行の難しさや保険診療上の制約により、実臨床では必ずしも十分に測定されていない現状がある。

 一方、BNPは心不全診療において広く用いられている血液検査マーカーである。近年、心臓と腎臓の相互作用(心腎連関)を反映する可能性が示唆されているが、正常範囲内のBNPが腎機能低下と関連するかどうかは明らかではなかった。

 そこで本研究では、20歳以上で文書同意が得られた糖尿病のある636名を対象に、BNPと腎機能低下との関連を検討し、以下の結果が得られた。

 1)臨床因子のみのモデルにBNPを追加すると、CKD進展(ベースラインから30%のeGFR低下)の予測能が有意に改善した。その改善度はUACRや尿蛋白(UPCR)を追加した場合と概ね同等であった。

 2)スプライン解析の結果、BNPが基準値上限(18.4pg/mL)以下であっても、値が低いほど腎機能低下リスクが段階的に低下することが確認された。「異常か正常か」という二分法ではなく、BNPが「連続的なリスク指標」である可能性が示された。

 3)BNP高値かつUACR高値の群で、最も高いCKD進展の累積発症率を示した。また、BNPとUACRの相関は弱く、異なる生物学的メカニズムを反映している可能性が示唆された。

 本研究により、BNPが従来の尿マーカーとは異なる生物学的軸から腎機能低下と関連する可能性が示された。研究グループは本結果について、「糖尿病のある人の早期リスク評価の精度向上や、心腎連関を踏まえた個別化医療の推進につながることが期待される。また、SGLT2阻害薬やGLP-1受容体作動薬などの心腎保護薬導入の判断補助としても活用できる可能性があり、重症化予防を通じた医療費削減への貢献も見込まれる」としている。

 本研究は順天堂大学大学院医学研究科腎臓内科学の准教授 村越真紀氏、同教授 合田朋仁氏らの研究グループが、広島赤十字・原爆病院内分泌・代謝内科部長 亀井望氏、札幌医科大学内科学講座循環病態内科学分野教授 古橋眞人氏らと共同で実施したもので、研究成果が2026年2月24日付で「Diabetes Research and Clinical Practice」オンライン版に掲載された。

[ 糖尿病リソースガイド編集部 / 日本医療・健康情報研究所 ]

糖尿病・内分泌プラクティスWeb 糖尿病・内分泌医療の臨床現場をリードする電子ジャーナル

医薬品・医療機器・検査機器

糖尿病診療・療養指導で使用される製品を一覧で掲載。情報収集・整理にお役立てください。

一覧はこちら

最新ニュース記事

よく読まれている記事

関連情報・資料