GLP-1受容体作動薬追加、インスリン療法中止率で他剤への優越性示されず

2026.08.10
基礎インスリン療法を行っている2型糖尿病(T2DM)患者に、GLP-1受容体作動薬(GLP-1RA)を追加した場合のインスリン療法中止率は、他の血糖降下薬を追加した場合と比べて差が認められないことが報告された。米イェール大学のKasia J. Lipska氏らの研究の結果であり、詳細は「Annals of Internal Medicine」に7月14日付で掲載された。

 基礎インスリン療法にGLP-1RAを追加することでインスリン必要量を減少させられることが知られている一方、インスリン療法そのものを中止できる患者が増えるかどうかは十分検討されていない。Lipska氏らはこの課題について、米国退役軍人保健局の電子健康記録(EHR)を用いた標的試験エミュレーションにより検討した。基礎インスリン療法を受けているT2DMの退役軍人のうち、2020~2022年にGLP-1RA、SGLT2阻害薬(SGLT2i)、DPP-4阻害薬(DPP-4i)のいずれかの血糖降下薬の投与を開始した患者において、インスリン療法が中止された割合を比較した。なお、インスリン療法の中止は、3年間の追跡調査期間中にインスリンの処方が12カ月以上中断された場合の最初の時点と定義した。

 GLP-1RA群ではセマグルチドが76.6%、デュラグルチドが15.2%、リラグルチドが7.9%、エキセナチドが0.3%に処方されていた。SGLT2i群では99.7%にエンパグリフロジンが、DPP-4i群では95.9%にアログリプチンがそれぞれ処方されていた。GLP-1RA群、SGLT2i群、DPP-4i群それぞれ8,869例からなるマッチング集団で比較が行われた。全体の63%が65歳以上、93%が男性であり、48%がHbA1c 9%以上であった。

 3年間の追跡期間中にインスリン療法を中止した患者は、GLP-1RA群では1,480人(16.7%)、SGLT2i群では1,585人(17.9%)、DPP-4i群では1,517人(17.1%)だった。

 ITT解析の結果、GLP-1RA群とSGLT2i群の比較ではリスク比(RR)0.93(95%信頼区間0.86~1.01)、GLP-1RA群とDPP-4i群の比較ではRR0.98(同0.87~1.09)であり、いずれのサブグループにおいても、インスリン療法中止におけるGLP-1RAの優位性は認められなかった。また、modified per-protocol解析の結果も、実質的に同様だった。

 論文の結論は、「基礎インスリン療法を受けているT2DM退役軍人において、GLP-1RAの追加は、SGLT2iやDPP-4iを追加した場合と比べて、インスリン療法中止の可能性を高めることはなかった」と総括されている。一方、限界点として、「残余交絡が存在し得ること、EHRデータを用いた解析では曝露やアウトカムの誤分類が生じることから、関連性が過小評価された可能性がある」としている。

 これらを踏まえ、著者らは、「GLP-1RAは心血管系、腎臓、体重管理に対する有益性が確立されているため、依然として重要な薬剤だ。しかし、GLP-1RAの開始だけでは、基礎インスリンの中止という点において、他の血糖降下薬で観察される以上の効果は得られないようだ」と述べている。

[HealthDay News 2026年7月16日]

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