経口セマグルチド「リベルサス錠」が2型糖尿病患者の心血管イベント減少で優越性を示す 米国心臓病学会

2025.04.08

 ノボ ノルディスクは、心血管疾患(CVD)あるいは慢性腎臓病(CKD)あるいはその両方を合併している成人の2型糖尿病患者で、経口GLP-1受容体作動薬「リベルサス錠」(経口セマグルチド14mg)が、主要心血管イベント(MACE:心血管死、非致死性心筋梗塞あるいは非致死性脳卒中)のリスクを14%低下させることを示した、心血管アウトカム試験(SOUL)の詳細な結果を発表した。

 MACEの各要素、すなわち心血管死、非致死性心筋梗塞および非致死性脳卒中のすべてでリスク低下が認められたとしている。

経口セマグルチド「リベルサス錠」が心血管イベントの減少で優越性を示す ACC2025

 第3b相試験から得られたこの新たなデータは、シカゴで開催された米国心臓病学会(ACC)のLate-breakingセッションで発表されると同時に、「New England Journal of Medicine」に掲載された。

 SOUL試験は、9,650例を登録した国際多施設共同、無作為割り付け、二重盲検、並行群間比較、プラセボ対照、第3相、心血管アウトカム試験。CVDあるいはCKDあるいはその両方を併発(あるいは合併)している2型糖尿病患者を対象として、経口セマグルチドが心血管アウトカムに及ぼす効果をプラセボと比較して評価することを目的としている。

 同試験は2019年に開始され、主要目的はCVDあるいはCKDあるいはその両方を併発(あるいは合併)している2型糖尿病患者で、標準治療に経口セマグルチドを追加投与したときに、プラセボと比較してMACE(心血管死、非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中から成る複合評価項目)のリスク低下を示すこと。

 SOUL試験における経口セマグルチドの全般的な安全性プロファイルは、これまでのセマグルチドの臨床試験で認められたプロファイルと一致しており、新たな安全性上の懸念は認められなかった。重篤な有害事象の発現率は、リベルサス錠群でプラセボ群より低く、これは主としてプラセボ群で心血管イベントと感染症の発現率がより高かったことによるものとしている。高頻度に認められた重篤な有害事象は心臓障害、(リベルサス錠群 17.8%、プラセボ群 19.8%)および感染症/寄生虫症(リベルサス錠群 15.0%、プラセボ群 16.5%)だった。

 同時に発表されたSOUL試験の副次解析の結果では、経口セマグルチドがベースラインでのSGLT2阻害薬の使用とは無関係に、MACEのリスクを低下させており、試験期間中にSGLT2阻害薬を併用した被験者と併用しなかった被験者で同様のベネフィットが得られることが示唆された。

 心血管代謝疾患は、心血管疾患、末梢動脈疾患、2型糖尿病、慢性腎臓病など、幅広い病態にわたり、2型糖尿病の存在は相互に関連する複数の心血管代謝疾患の発症リスク上昇に直接つながり、その他の心血管リスク因子の進行に寄与する。

 テキサス大学サウスウエスタン校医学部の循環器科学特別講座・医学部教授でSOUL試験の運営委員会共同委員長であるダレン マクガイア医学博士は次のように述べている。
 「2型糖尿病とアテローム性動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)および/あるいはCKDを有する成人を対象としたSOUL試験では、経口セマグルチド群ではプラセボ群に比べ、心臓発作、脳卒中、心血管死を含む主要心血管系イベントのリスクが有意に低下することが示された。心血管系への有用性が証明されたことは、健康状態を改善するための経口薬の選択肢を得た患者にとって、臨床的に大きなインパクトがあったことを意味する」。

 SOUL試験では、3,300万人・年を超える曝露での長期安全性データにより裏付けられている、十分確立されたセマグルチドの安全性および忍容性プロファイルが確認された。得られたデータにもとづいて、ノボ ノルディスクはリベルサス錠の添付文書の改訂を目的とした申請を提出した。これはすでに米国食品医薬品局(FDA)および欧州医薬品庁(EMA)により審査に向けて受理されており、決定は本年中にが下される見込みとしている。

Oral Semaglutide and Cardiovascular Outcomes in High-Risk Type 2 Diabetes (New England Journal of Medicine 2025年3月29日)
リベルサス錠3mg/リベルサス錠7mg/リベルサス錠14mg 添付文書 医薬品ガイド (医薬品医療機器総合機構)

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