糖尿病の療養指導Q&A 第3世代のMR拮抗薬
第3 世代のMR 拮抗薬ともいわれる薬剤(開発中のフィネレノンを含む)について,糖尿病患者における利点と使用上の留意点を, 腎病態との関係のうえで教えてください
Vol.38 No.3(2021年5・6月号)pp.372-374

大分大学医学部 内分泌代謝・膠原病・腎臓内科学講座
吉田 雄一 ● Yoshida, Yuichi
柴田 洋孝 ● Shibata, Hirotaka
はじめに
ミネラルコルチコイド受容体(MR)拮抗薬は,MR とそのリガンドであるアルドステロンが結合するのを防ぐ薬剤です.腎臓の皮質集合管において,アルドステロンによって活性化したMR が同部位でのNa+-K+-ATPase, 上皮性Na チャネル(ENaC),K+チャネルROMK を活性化させ,尿中ナトリウムを再吸収しカリウム排泄を亢進する,という作用を抑制させます(図).この作用によってナトリウムが排泄され,カリウムが再吸収されることからカリウムが保持される利尿薬として使用されてきました.MR は腎臓の皮質集合管以外にも血管や心臓,脳といった多くの臓器に存在することが確認されており,MR 拮抗薬はこれらをブロックし,アルドステロンによる直接の血管障害などを防ぐ効果が期待されるなど,利尿薬としての作用以外の効果もあり最近ではカリウム保持性利尿薬と呼ばれず,MR 拮抗薬と呼ばれるようになりました.これまでMR 拮抗薬としてスピロノラクトンやエプレレノンが使用されていましたが,第3 世代のMR 拮抗薬として2019 年にはエサキセレノンが使用できるようになり,近い将来フィネレノンがわが国で使用可能となる予定です.MR 拮抗薬は降圧薬の分野のなかでもいま一番話題となっている薬剤といえるでしょう.
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