2.GLP-1受容体作動薬の動脈硬化抑制効果

2021.11.15
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特集■GLP-1受容体作動薬への期待:新規創薬からの更なる飛翔
─血糖値だけでない!その実力─
2.GLP-1受容体作動薬の動脈硬化抑制効果
Vol.38 No.6(2021年11・12月号)pp.656-664

2021年11・12月号 目次

三田智也 Mita, Tomoya
綿田裕孝 Watada, Hirotaka
順天堂大学大学院医学研究科 代謝内分泌内科学

はじめに

 糖尿病治療の目標は,血糖コントロールなどを行うことで糖尿病細小血管合併症および動脈硬化性疾患の発症や進展を抑制し,健康な人と変わらない日常生活の維持や寿命を確保することである.良好な血糖コントロールを得るために糖尿病治療薬は必要であるが,一部の薬剤は心血管イベントを増加させてしまう可能性が指摘されていた.このような背景に対して,米国食品医薬品局(FDA)は新規の糖尿病治療薬の心血管系への安全性を確認する非劣性試験の実施を求めている.今後,このガイダンスは改訂される予定であるが,これまで実施された心血管系リスク評価試験のなかで,GLP-1(glucagon-like peptide-1)受容体作動薬とSGLT2(sodium-dependent glucose transporter 2)阻害薬は,心血管イベント発症の抑制効果が確認され,大きく注目されている.本稿では,GLP-1受容体作動薬の心血管イベントに及ぼす影響や動脈硬化に与える影響に関して概説する.

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