Vol.19 ガイドライン改訂を踏まえ 「高齢者糖尿病」のケアを見直そう
2025.01.15
超高齢社会に直面している日本。65歳以上の約5人に1人が糖尿病を持っているとされ、皆様も多くの高齢患者さんと日々接されていると思います。今回は2023年に発表された「高齢者糖尿病診療ガイドライン」改訂版の内容を踏まえ、高齢者糖尿病のケアについて見直していきましょう。
関東労災病院 糖尿病・内分泌内科 前部長
浜野 久美子 先生

高齢者糖尿病では個人差が大きい
高齢者糖尿病では、脳梗塞などの動脈硬化性疾患や、フレイル・サルコペニア、認知症などの老年症候群を抱えていることが多くあります。またそのような状況では低血糖リスクの上昇やポリファーマシーなどが起きやすく、それがまた糖尿病や併存疾患を悪化させる悪循環となります。改訂ガイドラインでは、このような状態を「multimorbidity(多疾患併存症)」として注意が必要としています。また、この「multimorbidity」は均一ではなく個人差が大きいため、患者個々の状態に応じた治療を行うことが重要です。