糖尿病にまつわる医療費のお話 -入院編-

  • 富田益臣(下北沢病院 糖尿病センター/足病センター 糖尿病センター長)、河合俊英(東京都済生会中央病院 担当部長)
2022.01.26

はじめに

 人口の高齢化が進むわが国で、医療費の増大は大きな社会問題です。2017年度の国民医療費は43兆710億円で、前年度の2.2%増加となっています。また医科診療医療費は30兆8,335億円、そのうち入院医療費は16兆2,116億円となっています。糖尿病患者さんでは糖尿病を有さない患者さんと比べると、入院期間や入院医療費の増加が報告されています1)。その理由として、糖尿病患者さんは、動脈硬化の進行や、血糖コントロールなどに時間がかかること、腎症や網膜症などの進行などが推測されています。
 糖尿病患者さんの入院目的は、教育やインスリン導入を含めた血糖コントロールの目的の入院以外にも、心筋梗塞や足潰瘍など様々な合併症により入院にいたることも多くなります。糖尿病に関連した医療費を抑制するためには、動脈硬化などの合併症を進行させないこと、そして日々の血糖コントロールをしっかり行うことが重要となってきます。
 今回は入院医療費の計算の仕方、そしてモデルケースを通して糖尿病患者さんの入院医療費について考えてみましょう。

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