デュアルGIP/GLP-1受容体作動薬「チルゼパチド」が2型糖尿病患者のTIRを延長 71~180mg/dLを満たした時間は91.2%

2021.10.13
 イーライリリー・アンド・カンパニーは、成人2型糖尿病患者を対象とした第3相臨床試験SURPASS-3試験の持続血糖モニター(CGM)のサブスタディの結果を発表した。
 デュアルGIP/GLP-1受容体作動薬「チルゼパチド」の最高用量(15mg)を投与した被験者では、Time in Range(71~180mg/dL)を満たす時間の割合は91.2%で、血糖値の厳格な目標域(71~140mg/dL)を満たす時間の割合は72.6%となり、いずれもインスリンデグルデクの漸増投与群に比べ有意差がついた。
 チルゼパチドの3用量(5mg、10mg、15mg)投与群はいずれも、血糖値の厳格な目標域を満たす時間がより長く、血糖変動の有意な改善が認められた。血糖値が70mg/dL以下の時間の割合ももより少なかった。
 詳細は、第57回欧州糖尿病学会(EASD2021)で発表された。

Time in Range(70~180mg/dL)の時間を1日の70%以上にするのが目標

 「チルゼパチド」は、2型糖尿病治療のために開発されている新しいクラスの治療薬であり、グルコース依存性インスリン刺激性ポリペプチド(GIP)とグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)の両インクレチンの作用を単一分子に統合した、新規の週1回投与デュアルGIP/GLP-1受容体作動薬。

 「SURPASS-3試験」は、SGLT-2阻害薬の併用の有無にかかわらず、維持用量のメトホルミンでは血糖コントロールが不十分な成人2型糖尿病患者を対象に、チルゼパチドの有効性および安全性をインスリンデグルデクの漸増投与と比較評価した52週間の多施設共同無作為化第3相非盲検試験。被験者はインスリンによる治療歴がなく、糖尿病の平均罹病期間は8.4年、ベースラインのHbA1cは8.17%、ベースラインの体重は94.3kgだった。

 SURPASS-3試験のCGMサブスタディでは、243人の部分集団で、ベースライン、24週時、52週時に7~10日間にわたりCGMを装着し、インスリンデグルデクに比べた高血糖域または低血糖域の時間および血糖変動に対するチルゼパチドの有効性を評価した。血糖変動は、変動係数(CV)を含むいくつかの指標をもとに24時間にわたり評価した。

 SURPASS-3試験のCGMサブスタディでは、SURPASS-3試験の2型糖尿病の部分集団を対象にチルゼパチドとインスリンデグルデク漸増投与の有効性について、CGMの評価を用いて比較した。

 同サブスタディの主要評価項目は、52週時点における血糖値の厳格な目標域(71~140mg/dL)を満たす時間の割合をインスリンデグルデクに比べ、チルゼパチド(10mgおよび15mgの併合群)週1回投与の優越性を検証すること。

 主な副次評価項目として、血糖値の厳格な目標域(71~140mg/dL)を満たす1日の時間の割合と、血糖値の厳格な目標域(71~140mg/dL)を満たす1日の時間の長さ(分)に対して、チルゼパチド5mg、10mgおよび15mgとインスリンデグルデクを比較した。

 探索的な評価項目では、Time in Rangeの目標域を満たす時間(71~180mg/dL)、目標域を下回る時間(70mg/dL以下および54mg/dL以下)、変動係数の変化を評価した。

 Time in Rangeに関する国際的コンセンサスでは、多くの糖尿病患者に対して、Time in Range(70~180mg/dL)の時間を1日の70%以上とする目標に加え、70mg/dL未満の時間を4%未満、180mg/dL以上の時間を25%未満とする目標が推奨されている。

チルゼパチド群では71~180mg/dLを満たした時間は91.2% 低血糖の時間も短縮

 その結果、CGMサブスタディは、主要評価項目および副次評価項目が達成された。CGMサブスタディの探索的エンドポイントでは、52週時で、チルゼパチド15mg群の被験者のTime in Range(71~180mg/dL)を満たす時間の割合は91.2%だった。

 チルゼパチドを投与した被験者での、52週時の主要評価項目の詳細な結果は以下の通り――。
⚫ 10mgおよび15mgの併合群では、24時間の血糖値の厳格な目標域(71~140mg/dL)を満たす時間の割合は72.6%であり、インスリンデグルデク群(48.0%)よりも平均で約6時間長いことが示された。

 追加の探索的評価項目では、チルゼパチドを投与した被験者で52週時に以下の結果が示された――。
⚫ 24時間のうちTime in Range(71~180mg/dL)を満たす時間の割合は、チルゼパチド3用量投与群で84.9~91.2%に対し、インスリンデグルデク群は75%で、いずれも有意な差が認められた。
⚫ チルゼパチド3用量投与群すべてで、インスリンデグルデク群に比べて低血糖の時間が短縮された。血糖値が70mg/dL以下の時間の割合は、チルゼパチド群が0.6~1.0%、インスリンデグルデク群が2.4%で、いずれも有意な差が認められた。血糖値が54mg/dL以下の時間の割合は、チルゼパチド群で0.11~0.14%、インスリンデグルデク群で0.39%だった。
⚫ インスリンデグルデクを投与した被験者では変動計数(CV)の増加がみられたのに対し、チルゼパチド3用量投与群では24時間のうちにCVの有意な減少(0.9~3.4%)が認められた。

 SURPASS-3試験におけるチルゼパチドの全体的な安全性プロファイルは、これまでに確立されたGLP-1受容体作動薬の薬剤クラスと同様だった。もっとも多く報告された有害事象は消化器系の副作用であり、投与継続にともない減少した。

 米パーク・ニコレット国際糖尿病センターのエクゼクティブディレクターであるRichard Bergenstal氏は次のように述べている。
 「SURPASS-3試験のサブスタディを通じて収集されたCGMデータから、チルゼパチドにより患者さんの1日の血糖変動が少なくなり、血糖値が目標域を下回る時間が短いことや、血糖値が正常であることを反映している厳格な目標域を満たす時間が長いことが示されました。2型糖尿病の管理で、血糖変動の改善、Time in Rangeを満たす時間の延長、および血糖値が目標域を下回る時間の短縮は重要な指標です。これらの指標は1日を通した血糖コントロールを反映しており、HbA1cが示す過去3ヵ月の血糖値の平均以上の情報を把握することができるからです」。

57th annual meeting of the European Association for the Study of the Diabetes (EASD)
Effect of tirzepatide on glycaemic control captured with continuous glucose monitoring in patients with type 2 diabetes (SURPASS-3 CGM)

[ TERAHATA / 日本医療・健康情報研究所 ]

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