特定健診のデータヘルス 年齢とともに薬剤利用は増加し生活改善の意欲も高まる 特定健診のビッグデータを分析
血圧降下薬や血糖降下薬は年齢層が上がると使用が増える
企業が設立する健康保険組合を会員とする健康保険組合連合会(健保連)は、かねてからデータヘルスに積極的に取り組んでおり、このほど2019年度「特定健診の『問診回答』に関する調査」を公表した。2019年度に特定健診を受診した457万947名のデータ(514組合)をもとに、受診者の状況を分析した。
血圧降下薬を使用している者の割合は、男性18.6%、女性10.1%。男女ともに年齢階層が上がるにつれて高くなり、男性は55~59歳で26.6%、60~64歳で35.6%、65~69歳で40.8%となっている。女性は65~69歳で26.5%、70~74歳で35.1%。
インスリン・血糖降下薬を使用している者の割合は、男性5.9%、女性2.2%。男性は55~59歳で8.3%、60~64歳で10.8%、65~69歳で12.6%となっている。女性は65~69歳で5.5%、70~74歳で7.1%。
脂質異常症治療薬(コレステロール・中性脂肪)については、男性11.1%、女性8.3%が使用している。男性は55~59歳で15.6%、60~64歳で19.7%、65~69歳で22.1%となっている。女性は60~64歳で19.9%、65~69歳で25.5%、70~74歳で31.4%。
働き盛りの世代では生活習慣改善の実行がともなわない傾向が
調査では、生活習慣についても質問している。生活習慣の改善に対する意欲が高い人は多いが、働き盛りの世代では、仕事や家事、育児などで忙しく、実行がともなわない現状が浮き彫りになった。若い年齢層ほど、食事などで不健康な生活習慣が目立つ。
「運動や食生活などの生活習慣を改善してみようと思いますか」という問いに対して、「改善するつもりはない」と回答したのは、男性では50~54歳26.2%、55~59歳27.1%、60~64歳28.3%、女性では60~64歳23.4%、65~69歳24.5%、70~74歳27.6%。「すでに改善に取り組んでいる」と回答したのは、「6ヵ月以上」が男性16.2%、女性12.3%、「6ヵ月未満」が男性9.8%、女性9.7%となっており、全体の約2割が改善に取り組んでいる。
「生活習慣の改善について保健指導を受ける機会があれば利用しますか」という問いに、男性31.3%、女性36.7%が「はい」と回答した。55~59歳の男性の31.9%、女性の38.6%が保健指導に対し意欲を示している。
ほかにも、20歳のときから体重が10kg以上増加した割合は、男性47.9%、女性28.6%。年齢階層別にみると、男女ともに50~54歳がもっとも高く、男性49.6%、女性30.6%。
1回30分以上の軽く汗をかく運動を週2日以上、1年以上実施している割合は、男性25.0%、女性19.2%。男女ともに年齢階層が上がるにつれて高くなり、70~74歳では男性45.0%、女性40.7%となっている。
日常生活で歩行または同等の身体活動を1日1時間以上実施している割合は、男性39.4%、女性41.5%。年齢階層別にみると、もっとも低いのは、男性50~54歳36.4%、女性45~49歳39.3%。
食事での「食べる速度」については、「速い」は男性37.8%、女性27.8%、「ふつう」は男性55.1%、女性62.6%、「遅い」は男性7.1%、女性9.6%となっている。男女ともに若い年齢階層で「速い」と回答した割合が高く、40~44歳では男性41.6%、女性29.0%となっている。
「就寝前の2時間以内に夕食をとることが週に3回以上ある」という人は、男性44.2%、女性23.6%と、男性が高い割合を示した。年齢階層別にみると、男女ともに若い年齢階層で高くなり、40~44歳では男性51.2%、女性26.5%となっている。
「朝昼夕の3食以外に間食や甘い飲み物をとることが毎日ある」という人は、男性12.7%、女性31.6%と、女性のほうが高い割合を示した。男女ともに若い年齢階層で高くなり、40~44歳では男性16.6%、女性35.8%となっている。
「朝食を抜くことが週に3回以上ある」という人は、男性24.6%、女性15.6%と、男性のほうが高い割合を示した。男女ともに若い年齢階層で高く、40~44歳では男性33.0%、女性18.8%となっている。
「お酒(日本酒、焼酎、ビール、洋酒など)を飲む頻度」は、「毎日飲む」は男性35.9%、女性15.6%、「時々飲む」は男性34.6%、女性32.0%、「ほとんど飲まない(飲めない)」は男性29.6%、女性52.5%となっている。「毎日飲む」は、男性では65~69歳44.3%、女性では45~49歳16.5%で高い。
「睡眠で休養が十分とれていない」は、男性38.9%、女性41.7%。男女ともに若い年齢階層で高くなる傾向があり、男性50~54歳で41.8%、女性50~54歳で45.3%となっている。
健康保険組合連合会(健保連)
令和元年度 特定健診の「問診回答」に関する調査(2021年9月)
令和元年度 生活習慣関連疾患医療費に関する調査(2021年6月)