MR拮抗薬「フィネレノン」の第3相試験を非糖尿病性CKD患者を対象に開始 腎臓・心血管系アウトカムに対する効果を検討
非糖尿病性CKD患者での腎疾患の進行抑制に関し、プラセボに対するフィネレノンの優越性を検証する。
慢性腎臓病(CKD)使用可能な治療選択肢は限られている
「フィネレノン」は、非ステロイド型ミネラルコルチコイド受容体(MR)拮抗薬で、前臨床試験でMRの過剰活性化による悪影響を抑制することが示されている。MRの過剰活性化は、代謝、血行力学、炎症、線維化の要因によって引き起こされる可能性のあるCKD(慢性腎臓病)の進行や心血管障害に寄与するとみられている。
フィネレノンの2つの第3相臨床試験であるFIDELIO-DKDとFIGARO-DKDは終了しており、2型糖尿病を合併するCKD患者を対象に、腎臓と心血管系アウトカムに対するベネフィットがすでに示されている。
第3相臨床試験FIND-CKDでは、高血圧や慢性糸球体腎炎(腎臓の炎症)などの非糖尿病性CKD患者1,500人以上を対象に、標準治療に上乗せしたフィネレノンについて、プラセボと比較検討する。FIND-CKDの主要評価項目は、ベースラインから32ヵ月までの全期間の推算糸球体濾過率(eGFR)スロープで表される平均変化率。
被験者は、それぞれの最大忍容量となるレニンアンジオテンシン系(RAS)阻害薬(アンジオテンシン変換酵素[ACE]阻害薬、アンジオテンシンII受容体拮抗薬[ARB]を含む)に、フィネレノン(10mgまたは20mg)もしくはプラセボのいずれかを上乗せする投与群に、無作為割り付けされる。
「糖尿病は世界的にCKDの主要原因としてよく認知されていますが、世界の疾病負荷のかなりの部分は糖尿病以外が発端となっており、高血圧などほかの疾患が原因です。アウトカムを改善するために、腎特有の疾患メカニズムを標的とする新しい治療法が強く望まれています」と、オランダ・フローニンゲン大学医療センター臨床薬理学・薬理学の臨床試験・個別化医療教授、臨床薬理学/試験医で、FIND-CKD試験運営委員会共同委員長であるHiddo・L・Heerspink氏は述べている。
なお、フィネレノンを用いた第3相臨床試験プログラムFINEOVATEは現在、FIDELIO-DKD、FIGARO-DKD、FINEARTS-HF、およびFIND-CKDという4つの第3相臨床試験で構成されている。 第3相臨床試験FIND-CKDの開始は、第3相臨床試験FIDELIO-DKDおよびFIGARO-DKDから得られた結果にもとづいている。
2試験では2型糖尿病を合併するCKD患者で、腎臓および心血管系の両アウトカムに対し、標準治療に上乗せしたフィネレノンのプラセボに対する効果を検討した。これまでの試験で観察されたフィネレノンの腎臓に対するベネフィットは血糖値に影響されなかったことから、FIND-CKD試験では、高血圧や慢性糸球体腎炎(腎臓の炎症)を含む非糖尿病性患者を対象に、フィネレノンの効果を検討する。
「フィネレノンは、2型糖尿病を合併するCKDの患者さんを対象とした包括的な第3相臨床試験プログラムを通じて、これまでに1万3,000人以上の患者さんで検討されました。標準治療に上乗せしたフィネレノンは、プラセボと比べ、腎臓および心血管系の良好なアウトカムを示しました。新たなFIND-CKD試験により、疾患の進行を抑制する新規治療に対するアンメットニーズが高い非糖尿病性CKD集団を対象に、フィネレノンの臨床試験を拡大します」と、ドイツ・バイエル社では述べている。