「フォシーガ」が慢性腎臓病治療薬として欧州で承認 2型糖尿病の有無に関わらずCKDの適応をもつ初のSGLT2阻害薬に
欧州委員会による今回の承認は、第3相DAPA-CKD試験の結果にもとづいており、欧州医薬品庁(EMA)医薬品委員会の承認勧告に続くものとしている。
第3相DAPA-CKD試験で示されたリスク低下にもとづく承認
第3相DAPA-CKD試験で、フォシーガはCKDステージ2~4、かつ尿中アルブミン排泄の増加を認める患者を対象に、ACEi(ACE阻害薬)もしくはARB(アンジオテンシン受容体拮抗薬)との併用で、腎機能の悪化、末期腎不全への進行、心血管死または腎不全による死亡のいずれかの発生による複合主要評価項目のリスクを、プラセボと比較して、39%低下させた(絶対リスク減少率[ARR]=5.3%、p<0.0001)。
また、同剤は、プラセボと比較して、全死亡のリスクを有意に31%低下させた(ARR=2.1%、p=0.0035)。同剤の安全性と忍容性は、過去確認された安全性プロファイルと一貫していた。
同試験は、2型糖尿病合併の有無に関わらず、CKDステージの2~4、かつ、アルブミン尿の増加が確認された4,304例を対象に、ダパグリフロジン10mg投与による有効性と安全性をプラセボと比較検討した、日本を含む21ヵ国で実施された国際多施設共同無作為化二重盲検比較試験。
同剤は1日1回、ACEiもしくはARBによる治療と併用された。主要評価項目は、腎機能の悪化もしくは死亡(eGFRの50%以上の持続的低下、末期腎不全への進行、心血管または腎不全による死亡)だった。副次評価項目は、腎機能の複合評価項目(eGFRの50%以上の持続的低下、末期腎不全への進行、腎不全による死亡)、心血管死もしくは心不全による入院、および全死因死亡のいずれかの初発までの期間だった。
フォシーガは、米国でも2型糖尿病合併の有無に関わらず、成人のCKD治療薬として承認を取得している。日本などでは承認審査中。同剤はまた、成人2型糖尿病の血糖コントロールを改善する食事および運動療法の補助療法、および、2型糖尿病合併の有無に関わらず、左室駆出率が低下した成人の慢性心不全の治療薬としても承認されている。
「この承認により、ダパグリフリジンは、欧州で、2型糖尿病の有無に関わらない、CKDに適応をもつはじめてのSGLT2阻害薬となりました」と、DAPA-CKD試験の治験運営委員会の共同代表者であるオランダのグロニンゲン大学医療センターのHiddo L. Heerspink教授は述べている。
なお、日本で現在承認されている同剤の効能・効果は、「2型糖尿病」「1型糖尿病」「慢性心不全 ただし、慢性心不全の標準的な治療を受けている患者に限る。」となっている。
DAPA-CKD - Dapagliflozin in Patients with Chronic Kidney Disease(ESC Congress 2020 2020年8月29日~9月1日)
Dapagliflozin in Patients with Chronic Kidney Disease(England Journal of Medicine 2020年10月8日)
フォシーガ錠5mg/フォシーガ錠10mg 添付文書 医療従事者向けガイド (医薬品医療機器総合機構)