栄養素摂取パターンと死亡率との関連を報告 大規模日本人集団の追跡研究 徳島大学ら

健康的な食事は、がんや心臓病、糖尿病などの非感染性疾患の予防に寄与する可能性がある。食事と疾患との関連を検討する際には、統計的に抽出された栄養素の摂取パターンを用いる手法がある。食品ではなく栄養素を用いる利点として、機序の検討に役立つほか、栄養素は世界共通であるため国際的な研究に適用しやすいということがある。これまで、栄養素パターンと心血管疾患の危険因子や非感染性疾患との関連については報告されてきたが、栄養素パターンと死亡率との関連は十分に検討されておらず、依然として明らかになっていない。
本研究では、日本多施設共同コホート研究において、日本人集団における栄養素パターンと全死亡率および死因別死亡率(循環器疾患、脳血管疾患、呼吸器疾患、がん)との関連性を調査した。21栄養素のエネルギー調整摂取量に因子分析を適用し、4つの栄養素パターンを抽出し、具体的には、パターン1(葉酸、カロテン、食物繊維、ビタミンC、カリウム、鉄、レチノール)、パターン2(不飽和脂肪酸やビタミンE)、パターン3(飽和脂肪酸、カルシウム、ビタミンB2、低炭水化物)、パターン4(ナトリウム、タンパク質、ビタミンD)であった。35~69歳の日本人72,939人(男性31,932人、女性41,007人)を対象とし、年齢や性別などの交絡因子を調整したうえで、Cox比例ハザードモデルを用いて解析した。追跡期間の平均値は11.7年だった。
追跡期間中に3,488人の死亡が確認された。解析の結果、パターン1の摂取は、全死亡率(HR 0.81、95%CI 0.73~0.90)、循環器疾患死亡率(HR 0.65、95%CI 0.49~0.85)、脳血管疾患死亡率(HR 0.60、95%CI 0.38~0.96)の低下と関連がみられ、がん死亡率(HR 0.88、95%CI 0.76~1.01)低下ともわずかな関連が認められた。また、パターン2では、適度な摂取が全死亡率(HR 0.86、95%CI 0.79~0.94)およびがん死亡率(HR 0.85、95%CI 0.76~0.95)の低下と関連していた。一方で、パターン2のスコアが高い(多く摂取している)ほど、脳血管疾患死亡率(HR 1.57、95%CI 1.03~2.40)の上昇と関連していた。パターン3・パターン4では、全死亡率・原因別死亡率との間に関連はみられなかった。
本研究結果について研究グループは、パターン1と死亡率低下との関連の機序としては抗酸化物質や食物繊維の働きが、パターン2ではビタミンEやω-3系多価不飽和脂肪酸などの働きが考えられ、また、パターン2のスコアは高脂肪食摂取と関連するとの報告があり、パターン2のスコアが高いと高脂肪食の摂取により脳血管疾患死亡につながると考えられると結論付けた。
本研究は、徳島大学を中心とした日本多施設共同コホート研究(J-MICC study)の研究グループによって実施され、研究成果が2025年12月12日付で「Nutrition Journal」に掲載された。




