「緩徐進行1型糖尿病(SPIDDM)の診断基準(2023)」の公開を開始 日本糖尿病学会
SPIDDMは、自己抗体を測定していない場合は、2型糖尿病として治療され、見逃される場合もある。
自己抗体を測定していないと見逃される場合も
日本内分泌学会によると、緩徐進行1型糖尿病(SPIDDM)は、主に自己免疫学的機序により、膵臓のβ細胞が破壊され、インスリン分泌を失うことで慢性高血糖状態となった糖尿病。1型糖尿病に含まれるが、急性発症1型糖尿病や劇症1型糖尿病と違い、ケトアシドーシスに陥るケースは少なく、2型糖尿病のような発症形式をとるとしている。
そのため、抗GAD抗体などの自己抗体を測定していない場合は、2型糖尿病として治療され、見逃される場合もあるという。
日本糖尿病学会は1月12日、「緩徐進行1型糖尿病(SPIDDM)の診断基準(2023)」の公開を開始した。「1型糖尿病における新病態の探索的検討委員会では、前回(2012年)の緩徐進行1型糖尿病(SPIDDM)の診断基準の見直しを進めてまいりました。この度、本学会定例理事会に上申して承認を得ましたので、学会ホームページへ掲載する運びとなりました」としている。
なお、改訂の詳細は委員会報告論文として、また臨床現場での対応などの詳細はステートメントとして、後日掲載・発表を予定しているとしている。
緩徐進行1型糖尿病(SPIDDM)を診断するための必須項目
日本糖尿病学会は、緩徐進行1型糖尿病(SPIDDM)を診断するための必須項目として、「(1) 経過のどこかの時点で膵島関連自己抗体が陽性である、(2) 原則として、糖尿病の診断時、ケトーシスもしくはケトアシドーシスはなく、ただちには高血糖是正のためインスリン療法が必要とならない、(3) 経過とともにインスリン分泌能が緩徐に低下し、糖尿病の診断後3ヵ月を過ぎてからインスリン療法が必要になり、最終観察時点で内因性インスリン欠乏状態(空腹時血清Cペプチド<0.6ng/mL)である」を挙げている。
上記の(1)(2)(3)を満たす場合に、「緩徐進行1型糖尿病(definite)」と診断し、(1)(2)のみを満たす場合は、インスリン非依存状態の糖尿病であり、「緩徐進行1型糖尿病(probable)」とするとしている。
詳しくは、日本糖尿病学会のホームページで公開されている。