【2024年度グッドデザイン賞】医療分野で受賞したスマホアプリ一覧 患者の生活改善や行動変容を促すアプリも

2024.10.23
 日本デザイン振興会は10月に、2024年度のグッドデザイン賞の受賞結果を発表した。今年度は、5,773件の審査対象の中から1,579件が「グッドデザイン賞」を受賞。

 そのうち医療分野で、スマートホンやタブレットなどにより操作できるアプリがいくつか受賞した。

 糖尿病医療でも、スマホなどのモバイルアプリを利用した糖尿病自己管理教育の報告は増えており、患者に合わせたテキストメッセージの送信や、疾病の理解の促進、服薬アドヒアランスの向上などの日々の実践でのサポートとフィードバックを行った例や、食事・運動療法の改善や、HbA1cの改善効果が報告されているものもある。今後のエビデンスの蓄積が期待されている。

【2024年度グッドデザイン賞】医療分野で受賞したスマホアプリ一覧

CureApp 治療アプリ CureApp HT - 高血圧症向け治療アプリ

 CureAppは、スマートホンで動作する治療用のソフトウェア医療機器「治療アプリ」の開発を行っている。従来にはなかった高血圧症に対する治療法として、保険適用で医師から患者へ同アプリの処方が2022年から開始された。
 高血圧症向け治療アプリを、患者が自身のスマートフォンを利用することで、診察と診察のあいだの治療空白期間にアプリが提供するプログラムを通じて、生活習慣の修正と定着をはかれる。医師は専用の管理画面を通じて患者の治療経過を把握することができるため、診療の質と効率を向上させることが可能としている。
 審査委員から、「高血圧症の治療には、生活習慣の改善がともなう。本アプリによって、医師は診療場面で適切な指導が可能になり、また患者は生活習慣改善にむけて行動変容理論にもとづく適切な支援が受けられるようデザインされている」と評価された。

Dexcom Dexcom G7 Continuous Glucose Monitoring (CGM) System

 リアルタイムCGMであるDexcom G7は、測定したグルコース濃度をスマートデバイスに表示するだけでなく、上昇・低下のトレンドをリアルタイムで確認することもできる。Dexcom G7は、糖尿病のある人が糖尿病をより簡単にマネジメントできるよう使いやすさを向上すると同時に、高い精度での測定を実現し、HbA1c 7%未満を目指す血糖マネジメントを支えるとしている。
 Dexcom G7は、上腕後部へも装着でき、装着部位、装着期間、センサーグルコース値に関わらず高い精度を実現することが、臨床試験で確認されている。
 また、重症低血糖を警告する「緊急低値リスクアラート」など、患者の行動変容を促す各種アラート機能を備え、状況に合わせて調整が可能。
 医療従事者による患者の糖尿病のマネジメントを効果的に支援するソフトウェアDexcom Clarityと統合した簡便なモバイルアプリは、患者のグルコース情報をひとつのシンプルで見やすい画面で提供し、リアルタイムならびに過去のグルコース測定値の確認ができる。
 審査委員は、「糖尿病を管理する際、血糖値をリアルタイムで長期にわたり計測することは重要である。本製品は、革新的な前製品(Dexcom G6)を、より小さく、使いやすく、かつ手ごろな価格でリデザインされており、それらの点が高く評価された」と述べている。

ASUSTeK APP Service ASUS HealthConnect App & ASUS VivoWatch – Personal Health Care Solution

 ASUS HealthConnectは、心血管ケアに特化したアプリで、医療グレードの心電図、血圧モニタリングを提供する。
 同社は2014年から、台湾の病院と協力して、高齢者や心血管疾患患者に合わせた包括的なエコシステムを開発しており、2022年にはこの取り組みを拡大し、健康診断、診断システム、介護システムなど、より多くの病院にシステムを導入。2023年には農村部に進出し、地元の高齢者が病院、介護者、遠隔地の家族とリアルタイムの健康状態を共有できるようにしたとしている。
 台湾の地域間で存在する医療アクセス格差を解消すべく、過去10年にわたり丹念に高齢者の健康管理(とくに心血管ケア)のための包括的システムをデザインしてきたことが評価された。

Splink 認知機能テスト CQ test

 Splinkが開発・提供するセルフチェック型認知機能測定ツール「CQ test」は、脳の状態を健常なときから把握することができ、認知機能を総合的に分析することで、認知機能の面からも気づきを得ることが可能としている。
 スマートホンやタブレット端末などWeb接続で利用可能なテストは、10分程度でテストが完了し、結果表示までその端末内で完結できる。解析データの保存・蓄積により、経年変化を可視化することで、より深い気づきを個々人に提供する。
 「認知機能テスト」としてはじめての受賞であり、高齢化が進む現代社会での健康経営や人的資本の維持に貢献する革新的なデザインが評価されたとしている。
 「CQ testは、高齢化が進む社会で、実年齢というバイアスで人を評価するのではなく、認知機能(脳の健康度)を測定することで人のポテンシャルを見出し、ウェルビーイングな社会の実現を目指してデザインされた画期的な測定ツール」と評価された。

グッドデザイン賞 (日本デザイン振興会)

[ TERAHATA / 日本医療・健康情報研究所 ]

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