1型糖尿病患者の37%は30歳以降に診断 2型糖尿病と誤診される例も
成人後に1型糖尿病を発症した場合、発症直後には2型糖尿病と誤診されることも少なくない。これには、1型糖尿病の発症は未成年に多いというイメージが定着していることが影響を及ぼしている可能性がある。
1型糖尿病発症年齢の実態を明らかにすることが、このような誤解を減らし、発症直後の成人1型糖尿病患者に対して適切な治療が滞りなくなされることにつながると考えられる。これを背景としてFang氏らは、米国国民健康面接調査(NHIS)のデータを用いて、1型糖尿病の診断年齢の分布を解析した。
2016~2022年のNHIS参加者のうち、18歳以上の成人1型糖尿病患者が947人含まれていた。それらの患者の診断時年齢のピークは15歳前後だったが、正規分布ではなく高齢側に偏っており、中央値は24歳だった。解析対象者の57%は20歳以降に1型糖尿病と診断され、37%は30歳以降、22%は40歳以降に診断されていた。
性別で比較すると、女性は中央値22歳であるのに対して男性は27歳であり、より遅く診断されている傾向が見られた。また、人種/民族で比較すると、非ヒスパニック系白人は診断された年齢の中央値が21歳であるのに対して、マイノリティーでは26~30歳と、やや高齢の範囲に分布していた。
著者らは、「1型糖尿病は小児期に発症しやすいと考えられているが、われわれの研究結果は、あらゆる年齢層で発症していることを示している。特に男性と少数民族ではその傾向が強い。成人1型糖尿病発症後早期の見逃しを減らすための診断ツールが求められる」と述べている。
本研究には関与していない、米デューク大学マーゴリス医療政策センターのCaroline Sloan氏は、「多くの臨床医は、成人発症の糖尿病であれば1型糖尿病の可能性は低いと考える。しかし今回の報告は、1型糖尿病患者の過半数は成人後に発症していることを示す、強力なエビデンスと言える。1型糖尿病と2型糖尿病では、治療内容や患者への指導・情報提供内容が異なり、さらに、治療に当たる医師の変更を要することもあるため、誤診は大きな問題につながる」と解説。
また、「成人発症の糖尿病であっても、診断時に糖尿病の病型まで把握可能な検査を行うことが重要だ」と付け加えている。
[HealthDay News 2023年9月25日]
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