1日1回経口投与の新規GLP-1受容体作動薬「orforglipron」の第2相試験 9.4~14.7%の体重減少

2023.07.20
経口投与可能な新規GLP-1RAによる有意な体重減少を確認

 1日1回経口投与する新規GLP-1受容体作動薬(GLP-1RA)として開発中の「orforglipron」が、肥満・過体重者の体重管理に有効とする報告が、米国糖尿病学会第83回学術集会(ADA2023、6月23~26日、サンディエゴ)で発表されるとともに、論文が「The New England Journal of Medicine」に6月23日掲載された。マクマスター大学(カナダ)のSean Wharton氏らによる第2相臨床試験の結果であり、研究参加者の46~75%の範囲で36週目までに10%以上の体重減少が認められたという。

 現在、体重管理用に承認されているGLP-1RAは、リラグルチドとセマグルチドの2剤であり、いずれもペプチド製剤の注射薬。GLP-1RAの経口薬は血糖管理目的でのみ承認されており、その減量効果は注射薬より低い。

 一方、orforglipronは、体重管理と血糖管理の双方を目的として開発中の経口非ペプチドGLP-1RA。OrforglipronはGLP-1受容体に対する強力なアゴニストとして作用し、またサイクリックAMP(cAMP)シグナル伝達に対する作用も強く、受容体の脱感作が生じにくいと考えられている。さらに半減期が29~49時間であるため、1日1回の経口投与での有効性も期待されている。

 第2相臨床試験は無作為化二重盲検試験として実施された。肥満または過体重で、体重関連の合併症を一つ以上有する患者272人(平均年齢54.2歳、女性59%、白人91%、平均BMI37.9)をorforglipron12mg、24mg、36mg、45mg、またはプラセボに割り当て36週間介入。一次エンドポイントは26週時点、二次エンドポイントは36週時点の体重変化とした。なお、orforglipronの初期投与量は2~3mgであり、最大16週かけて漸増した。

 26週時点での体重変化幅は、orforglipron群では投与量に応じて-8.6~-12.6%の範囲であり、プラセボ群では-2.0%だった。36週時点ではorforglipron群が-9.4~-14.7%、プラセボ群は-2.3%だった。36週目までに少なくとも10%の体重減少が見られた割合は、orforglipron群では46~75%だったが、プラセボ群では9%だった。Orforglipron群では、事前に設定されていた全ての評価指標が有意に改善していた。

 主な有害事象は、軽度から中等度の消化器症状だった。これは主としてorforglipronの用量漸増中に発生し、10~17%は投与中止に至った。その他の安全性プロファイルは、既存のGLP-1RAと同様だった。

 著者らは、「非ペプチドGLP-1RAであるorforglipronの経口投与は、肥満・過体重者の体重減少と関連していた」と結論付けるとともに、「既存のGLP-1RA注射薬で認められる副次的なメリットが、orforglipronでも同様に認められるのかという点については、今後の研究での検証が必要」と述べている。

 なお、数人の著者が、orforglipronのメーカーで本研究に資金を提供したイーライリリー社を含む製薬企業との利益相反(COI)に関する情報を明らかにしている。

[HealthDay News 2023年6月26日]

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