自動インスリン投与システムが1型糖尿病の血糖管理を大きく改善 血糖管理スキルが十分でない小児・若年患者でも効果
糖尿病、とくにT1DMの血糖管理手段として、連続的に血糖値を測定し、その値とアルゴリズムにもとづき、最適なインスリン量を予測し自動注入するAIDが普及してきている。それとともに、血糖値の目標範囲を70~180mg/dLでなく、低血糖を増やさずに上限を140mg/dLに維持するという、より厳格な管理を目指す流れも生まれている。ただし、小児・若年T1DM患者にAIDを用いたそのような厳格な管理に関するエビデンスは少ない。
本研究は、従来療法ではHbA1c 7.0%未満に到達していない7~16歳のT1DM患者79人(平均年齢11.66±2.7歳、男児66%)を解析対象とする、後ろ向き研究として実施された。
AIDへの変更前の治療は、持続皮下インスリン注入療法(CSII)が66%、インスリン頻回注射(MDI)が27%、手動での操作がやや多い旧タイプのAID(ミニメド670G)が7%であり、HbA1cは8.3±1.0%、平均血糖値は192.6±36.0mg/dL、血糖値が70~180mg/dLの範囲にあった時間の割合(time in range;TIR)は48.0±15.5%、同70~140mgの割合(time in tight range;TITR)は33.3±10.8%だった。
新タイプのAID(ミニメド780G)に切り替えた3ヵ月後、HbA1cは7.6±0.8%、平均血糖値は158.4±16.2mg/dL、TIRは66.1±9.3%、TITRは45.2±7.9%に改善していた。
この改善は12ヵ月後、24ヵ月後にも維持されていた。例えば24ヵ月時点のHbA1cは7.5±0.9%、平均血糖値は167.4±21.6mg/dL、TIRは63.1±12.0%、TITRは42.4±10.9%だった。またこれらの指標の変化は、以前の治療法、および年齢層(12歳未満/以上)にかかわらず認められた。
AID切り替え後に、重症低血糖が2件発生していたが、これは食事を取らないにもかかわらず、誤って大量の炭水化物を摂取したと入力したことによるものだった。また2年間の観察期間中に、重症ケトアシドーシスの発生は見られなかった。
著者らは、「血糖管理目標に達していない患者の血糖コントロールが、AID導入後に大きく改善し、その好ましい効果は観察期間中、継続して認められた。AIDは、血糖管理スキルが十分でない小児・若年T1DM患者の新たな治療選択肢となりえるのではないか」と述べている。
なお、数人の著者が製薬・医療機器企業との利益相反(COI)に関する情報を明らかにしている。
[HealthDay News 2024年12月12日]
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