下肢創傷患者を救う「フットケアセンター」を開設 専門医と多職種によるチーム医療 順天堂・浦安病院

2023.06.07
 順天堂大学医学部附属浦安病院(院長:田中裕)は、専門医と多職種によるチーム医療で下肢創傷患者を救う「フットケアセンター」を開設したと発表した。

専門医と多職種によるチーム医療で下肢創傷患者を救う「フットケアセンター」

 近年、下肢血管の動脈硬化に起因する末梢動脈疾患の患者は増加の一途をたどっており、なかでも下肢の虚血などにより生じる足趾の安静時痛や下肢潰瘍などの病態を有する「包括的高度慢性下肢虚血(CLTI)」の治療は、脳血管障害や心血管疾患の合併症も多く、その予後も悪いことから、こういった併存疾患を早期に発見し治療することが非常に重要になっている。

 また、創傷が改善せず下肢切断となった場合の予後はさらに悪いことが知られており、いかにして「救肢」を行うかは大きな課題となっている。

 下肢創傷の治療では、「創・虚血・感染」の3分野について評価が行われ(WIFI分類を用いた速やかなステージング)、PLANコンセプトにしたがい、必要に応じて血行再建が、創の程度により軟膏処置・デブリードマン・小切断や大切断といった処置が施行される。

 高血圧・糖尿病・脂質異常症・喫煙など動脈硬化の危険因子を有している患者に起こりやすい下肢閉塞性動脈硬化症による創傷治癒でも、傷を評価し、血流を評価し、感染の程度を評価し、早期の血管治療を行い創部の処置を行うことが求められる。

 一方、創傷治癒のためには、血糖コントロールや栄養状態の改善なども非常に重要であり、こうした治療は単診療科では困難なため、各診療科の専門的な知識や包括的な判断を要する。

 そこで順天堂大学医学部附属浦安病院では、フットケアチームを設立し、各診療科の専門医と多職種が連携してCLTIの治療にあたっている。最近は腎・高血圧内科も加わり、吸着型血液浄化器を用いた新たな下肢創傷治療にも積極的に取り組んでいるとしている。

 「今後は、地域医療機関からの紹介患者の受入れをさらに増やすと同時に、入院患者に対しても、最新かつ専門的で早期な治療に取り組んでいきます」としている。

 同フットケアセンターの尾﨑大センター長は、次のようにコメントしている。
 「フットケアにおいてとくに重要となるのが"チーム医療"です。当院では、定期的に専門医および多職種でのフットケアカンファレンスを行い、1人ひとりの患者に合わせた治療方針を決定するチーム医療を展開しております。フットケアセンターの開設により、フットケアチームの活動がより円滑化され、チーム自体もさらに活性化すると考えております」

出典:順天堂大学医学部附属浦安病院、2023年

順天堂大学医学部附属浦安病院・フットケアセンター

順天堂大学医学部附属浦安病院・フットケアセンター

[ TERAHATA / 日本医療・健康情報研究所 ]

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