GLP-1受容体作動薬「セマグルチド」 慢性腎臓病を有する2型糖尿病患者の腎疾患関連イベントのリスクを24%低下
セマグルチド1.0mgにより腎疾患関連イベントのリスクが24%低下
ノボ ノルディスクは、腎アウトカム試験であるFLOW試験の主要な結果を発表した。慢性腎臓病(CKD)を有する2型糖尿病患者3,533人が組み入れられた同試験で、GLP-1受容体作動薬であるセマグルチド1.0mgにより、腎疾患関連イベントのリスクが24%低下したことが示された。
この発表は、2023年10月に発表された、独立データモニタリング委員会からの勧告にもとづいた、有効性評価にともなう試験の早期終了の決定を受けたもの。この二重盲検試験では、慢性腎臓病(CKD)を有する2型糖尿病患者を対象に、腎機能障害の進行予防、腎死および心血管死のリスク低下に関して、標準治療の補助療法としてセマグルチド1.0mg(注射剤)とプラセボを比較した。
その結果、セマグルチド1.0mgを投与した患者で、腎疾患の進行、腎死、心血管死のリスクが、プラセボに比べて24%減少し、統計学的に有意かつ優位性をもった減少を示したことにより、主要評価項目が達成された。
複合主要評価項目には、CKDの進行と腎死および心血管死のリスクを測定する5つの要素が含まれており、主要評価項目の構成要素であるCKDと心血管系の要素が、いずれもリスク低下に寄与していた。検証的副次評価項目でも、プラセボに対するセマグルチド1.0mgの優越性が確認されたとしている。
さらに、セマグルチド1.0mgを用いた過去の試験と同様に、今回の試験でも、セマグルチド1.0mgでの安全かつ良好な忍容性が示された。
FLOW試験は、CKD(eGFR2が50mL/min/1.73m²以上、75 mL/min/1.73 m²以下で、なおかつ尿中アルブミン/クレアチニン比(UACR)が300mg/g超、5000mg/g未満、またはeGFRが25mL/min/1.73 m²以上、50 mL/min/1.73 m²未満で、かつUACRが100mg/g超、5000mg/g未満と定義)を有する2型糖尿病の成人を対象として、腎機能障害の進行予防、腎死および心血管死による死亡のリスク低下に関して、標準治療の補助療法として追加したセマグルチド1.0mgとプラセボを比較した、無作為割り付け、二重盲検、並行群間、プラセボ対照試験。2019年に開始され、28ヵ国の約400の治験実施施設で、3,533人が試験に組み入れられた。
FLOW試験の主要目的は、複合主要評価項目にもとづき、CKDの進行を遅延させ、腎死および心血管死のリスクを低下させることを検証すること。
「2型糖尿病のある方の約40%は慢性腎臓病を抱えており、FLOW試験の良好な結果は、セマグルチドが慢性腎臓病を有する2型糖尿病に対するGLP-1受容体作動薬の第一選択となる可能性を示唆しています」と、同社では述べている。
なお、ノボ ノルディスクは、2024年に米国および欧州で「Ozempic」の適応拡大に向けた承認申請を見込んでおり、FLOW試験の詳細な結果は2024年の学術会議で発表される予定としている。
セマグルチド(遺伝子組換え) 添付文書 医薬品ガイド (医薬品医療機器総合機構)
オゼンピック 2型糖尿病治療剤 持続性GLP-1受容体作動薬 (ノボ ノルディスク プロ)
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