持続性GLP-1受容体作動薬「オゼンピック」が2型糖尿病患者の血糖値および体重を減少 リアルワールドエビデンスで示す

2021.10.13
 ノボ ノルディスクは、成人2型糖尿病患者で、週1回投与の持続性GLP-1受容体作動薬「オゼンピック」(セマグルチド週1回投与)はベースラインの血糖値(HbA1c)、体格指数(BMI)、年齢、糖尿病罹病期間、またはインクレチンによる前治療にかかわらず、血糖値(HbA1c)および体重を有意に減少させることを示したリアルワールドエビデンスプログラムの結果を発表した。
 この研究結果は、成人2型糖尿病患者1,212例の多様なグループを評価したカナダ、デンマーク/スウェーデン、スイスおよび英国で行われた先行する4件のSURE試験の併合データの事後解析にもとづいている。研究結果は第57回欧州糖尿病学会(EASD2021)で発表された。

成人2型糖尿病患者での血糖値および体重をベースライン値に比べ有意に減少

 リアルワールドエビデンスプログラムであるSURE試験は、10ヵ国で実施されている9件の単群、非介入試験から構成される。EASD 2021で発表したデータは、カナダ、デンマーク/スウェーデン、スイス、英国で、医師の判断でオゼンピックや他の血糖降下薬を処方された成人2型糖尿病患者1,212例を評価した先行する4件のSURE試験から得られたリアルワールドエビデンスを併合解析したもの。

 同試験では、患者のベースラインおよびオゼンピック投与開始後約30週のHbA1cおよび体重が測定された。現在、フランス、ドイツ、イタリア、オランダおよびスペインで試験が進行中。

 その結果、治療開始から約30週後に、オゼンピックを投与した患者の約半数以上(52.6%)およびベースラインのHbA1cが7%以上であった患者の44.5%が、治療目標である7%未満のHbA1cを達成した。また、オゼンピック投与による治療を開始した全患者のうち、43.9%は臨床的に意義のある5%以上の体重減少を達成した。

 サブグループ解析では、ベースラインのHbA1cやBMI値が高く糖尿病罹病期間が長いなど、より治療に難渋する患者を含む幅広いベースライン指標をもつ患者グループを対象に、オゼンピック投与の影響を検討した。併合解析では、集団全体およびすべてのサブグループで、オゼンピック投与により、約30週後にベースラインに比べ有意なHbA1cおよび体重の減少が示された。ベースラインからの全体のHbA1c減少は、1.1%、体重減少は4.7kgだった。

出典:ノボ ノルディスク ファーマ、2021年

 カナダのマギル大学ヘルスセンター医学部のジャン フランソワ イエール教授は次のように述べている。
 「リアルワールド研究は、ランダム化比較試験で認められた結果を補足するために必要不可欠です。リアルワールド研究では、はるかに幅広い患者集団を診療する実臨床で治療がどのように効果を発揮するかを観察することができます。また、リアルワールド研究は、考慮が必要となる複数の併存疾患を抱えていることの多い2型糖尿病患者さんで、特に洞察に満ちています」。

 なお、日本では、「2型糖尿病」を効能・効果とするオゼンピック皮下注の週1回投与単回使用製剤「オゼンピック皮下注0.25mg SD」、「オゼンピック皮下注0.5mg SD」「オゼンピック皮下注1.0mg SD」が販売されており、心血管疾患の既往を有する成人2型糖尿病患者の主要心血管イベントの発症リスク軽減は米国での適応であり、日本での適応は取得されていない。

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[ TERAHATA / 日本医療・健康情報研究所 ]

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