メタバースアプリを開発 医療機関のオンライン面会をぬくもりを感じるコミュニケーションに 順天堂大学

2023.07.26
 順天堂大学と日本IBMは、メタバース上で入院患者さんとの面会ができるメタバース面会アプリ「Medical Meetup」を共同で開発し、無料配信を開始する。また、8月より順天堂大学医学部附属順天堂医院で、同アプリの運用・臨床研究を開始する。

 医療機関が監修した、患者のための面会支援メタバースアプリで、患者がすぐに利用でき、どの施設でも導入しやすくしてある。アバターを通して、ぬくもりのあるコミュニケーションを実現できるとしている。

医療機関が監修した患者面会支援メタバースアプリ
アバターを通してぬくもりのあるコミュニケーションを実現

 アバターは、バーチャル空間内で活動できる新しいテクノロジー。バーチャル空間で、本人や他の利用者に紐付けられたキャラクターの画像やアイコン、3Dモデルなどを操作できる。またメタバースは、現実世界とは異なる3次元の仮想空間(オンライン空間)のこと。

 入院している患者にとって、家族や親しい人との面会は、ストレス軽減や癒しをもたらし、病気に立ち向かう力につながる重要なものだ。しかし、高度な医療を受けるために入院している患者や、感染症の流行などがあると、面会の制限を受けることがある。

 また、身じたくや装いなど面会をすることへの気遣いや遠慮、時間的な制約によって面会がかなわないことも少なくない。電話やオンライン面会は、このような状況下でも気軽に使えるコミュニケーションツールとして多く利用されているが、対面のような「ぬくもり」に欠けるところがあった。

 順天堂大学と日本IBMは、2022年に発足した「メディカル・メタバース共同研究講座」のテーマのひとつとして、医療サービスの向上を検討してきた。このほど患者と病院外の人がさまざまな制限や制約などを乗り越え、実際に対面で会わなくても「ぬくもりのある面会」が実現できるメタバース面会アプリを共同で開発した。

 同アプリでは、患者と面会者のアバターがリゾート施設などの非日常空間で会話をしたり、お出かけや乗り物での移動、ハイタッチなどで擬似的にふれあえるなど、通常の面会の枠を超えた体験を楽しむことができるとしている。

メタバース面会アプリ「Medical Meetup」の画面

 順天堂医院小児医療センターに入院している小児患者と家族が、メタバース面会アプリでふれあう機会が増えることで、より元気で心穏やかにすごせることを目指した運用・臨床研究も2023年8月に開始する。

 また、身近な人との面会のみならず、医療講演会や遠隔診療、国内外コミュニティー広場などの、各種医療サービスも提供できるよう、患者家族間のみならず医療従事者とのコミュニケーションも含めて活用シーンを広げていくことを検討するとしている。

メタバース面会アプリ「Medical Meetup」の特徴

  •  医療機関が監修した患者面会支援メタバースアプリ
     点滴を受けているなどで腕の動作に制限がある患者向けに、アバターを操作するコントローラーの位置を自身でカスタマイズできる機能があるなど、患者・医療従事者にとっての使いやすさを考慮してデザインしてある。そのため、患者がすぐに利用でき、どの施設でも導入しやすい。

  •  非日常空間での面会・お出かけが可能
     通常の病院の中での面会ではなく、リゾート施設などの非日常空間でよりリラックスした面会が可能。また、気球などの乗り物に乗ったり、ビーチで動物とふれあうなど、いっしょにお出かけをしているような面会体験ができる。

  •  アバターを通してぬくもりのあるコミュニケーションを実現
     音声会話だけでなく、ハイタッチなどの擬似的なふれあいにより、リモートでもよりぬくもりのあるコミュニケーションが可能。また、あえて顔が見えないアバターを通して、より気軽に、遠慮なく自分を表現して会話できるようにしてある。

メディカル・メタバース共同研究講座の概要 (順天堂大学 メディカル・メタバース共同研究講座)
メディカル・メタバースを活用したニュー・ヘルスケアへの挑戦 (日本IBM 2023年5月10日)

[ TERAHATA / 日本医療・健康情報研究所 ]

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