【新型コロナ】抗体カクテル療法「ロナプリーブ」がウイルス量を有意に減少 第2/3相試験の結果
同試験では、主要評価項目が達成され、自己の免疫による自然抗体反応が得られていない(血清抗体陰性)、低流量酸素が必要または酸素投与が不要な患者で、ロナプリーブは治療後7日目までにウイルス量を有意に減少させることが示された。
治療後7日目までにウイルス量を有意に減少 デルタ株を含む変異株に対する効果も期待
ロシュ社は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の入院患者を対象に、「ロナプリーブ」(カシリビマブ/イムデビマブ)を評価した第2/3相2066試験で、良好な結果を確認したと発表した。
同試験は、無作為化二重盲検プラセボ対照第2/3相試験で、COVID-19の成人の入院患者を対象にロナプリーブを評価した。
ロナプリーブは、2種類のモノクローナル抗体のカクテルであり、COVID-19の原因ウイルスであるSARS-CoV-2による感染防止を目的に、リジェネロン社によって創製された。
2種類の強力なウイルス中和抗体であるカシリビマブおよびイムデビマブは、ウイルスのスパイクタンパク質の受容体結合部位に非競合的に結合することで、SARS-CoV-2に対して中和活性を示し、in vitroの検討からデルタ株を含むすべての懸念される変異株・注目すべき変異株(2021年9月時点)に対しても効果を示すことが期待されている。また、in vitroの検討からエスケープ変異の発生抑制効果も期待されるとしている。
同試験では、有効性解析対象の1,197名の患者のうち、530名は酸素投与なし、667名は低流量酸素を使用していた。安全性解析には、有効性解析の全患者に加え、同試験に早期段階で登録された低流量酸素を使用していた患者も併せて解析した。患者は、ロナプリーブ8,000mg、2,400mgまたはプラセボ群(各1回投与)に1:1:1の割合で無作為化された。
その結果、標準治療に加えてロナプリーブを投与した患者は、標準治療のみを受けた患者と比較して、評価したすべての臨床エンドポイントで数値的な改善がみられた。
自己の免疫による自然抗体反応が得られていない(血清抗体陰性)、低流量酸素が必要または酸素投与が不要な患者で、ロナプリーブは治療後7日目までにウイルス量を有意に減少させることが示された(p=0.0172)。
また、2,400mgおよび8,000mgのいずれの投与量でも、同等の臨床結果が得られた。新たな安全性シグナルは認められなかった。
なお中外製薬は10月11日に、ロナプリーブ[一般名:カシリビマブ(遺伝子組換え)/イムデビマブ(遺伝子組換え)]について、COVID-19の予防および無症状の感染者の治療に対する適応拡大の申請を厚生労働省に行った。同適応拡大に合わせて、既承認の静脈内投与に加えて、皮下投与を可能にする用法追加の申請も行った。この承認申請では、特例承認の適用を希望している。
ロナプリーブ点滴静注セット300/ロナプリーブ点滴静注セット1332 添付文書 インタビューフォーム(医薬品医療機器総合機構)