【新型コロナ】ファイザーのワクチンの3回目接種はオミクロン株にも効果 ブースター接種により中和抗体が25倍に増加

2021.12.10
 米ファイザーは、同社製の新型コロナワクチンの3回目接種が、感染力の高い変異株「オミクロン株(B.1.1.529系統)」に対しても予防効果を示したという初期調査の結果を発表した。2回接種だけでは中和力価は大きく低下するが、3回目の追加接種により、2回接種に比べ中和抗体価が25倍に増加するという。

 ファイザーとビオンテックは、オミクロン株に対する変異体特異的ワクチンの開発も進めており、2022年3月までに利用可能とすることを目指している。

2回接種だけでは中和力価は大幅に低下 やはり3回目接種が必要

 ファイザーとビオンテックは、共同開発したワクチンBNT162b2のオミクロン株への効果について調査している。今回の研究は、2回目のワクチン接種後3週間経過した人と、ブースター接種として3回目のワクチン接種後1ヵ月経過した人の血清を採取し、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のS蛋白質に対する中和抗体価を検証したものだ。

 その結果、CD8陽性T細胞のエピトープ解析の結果から、オミクロン株にみられる変異の影響を受けないT細胞エピトープは80%に上ることが示された。

 BNT162b2の、デルタ株に対する3回接種後の幾何平均抗体価(GMT)は398だったのに対し、オミクロン株に対する3回接種後のGMTは154だった。

 オミクロン株に対する中和抗体価は、従来株やデルタ株に対する中和抗体価と比べて半分程度ではあったものの、BNT162b2の3回目接種により、2回接種後の血清でのオミクロン株に対する中和抗体価に比べて25倍高まり、2回接種後による従来株に対する中和抗体価と同程度には高まったとしている

 なお、BNT162b2を2回接種したのみの人の血液では、オミクロン株に対する中和力価は平均で25分の1に低下し、2回接種だけではオミクロン株の感染から保護するためには不十分である可能性が示された。

 ただし、ワクチンにより誘導されるCD8陽性T細胞の標的となるエピトープの大部分はオミクロン株の影響を受けないため、T細胞応答はオミクロン株に対しても有効としている。ワクチン接種により依然として新型コロナの重症化から保護される可能性はあるとしている。

 「COVID-19ワクチンのブースター接種は、COVID-19の蔓延を防ぐための現時点で最善の行動方針である可能性がある。できるだけ多くの人々が2回目接種を完了していることが望ましい」と、ファイザーの会長・CEOであるAlbert Bourla氏は述べている。

 なお、今回発表されたのは予備的なデータであり、同社ではBNT162b2や、アルファ株・ベータ株・デルタ株に最適化したワクチンを用いて、ブースター接種として3回目の接種を行ったときの効果を検討する臨床試験を進めている。

 両社は共同で、オミクロン株に対応するワクチンの開発も進めており、2022年3月までに新しいワクチンの供給が可能とすることを目指している。

[ TERAHATA / 日本医療・健康情報研究所 ]

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