インスリン投与後、経腸栄養剤が注入されておらず、患者が低血糖をきたした事例を報告 [医療安全情報No.174]

2021.05.20
 インスリン投与後、経腸栄養剤が注入されておらず、患者が低血糖をきたした事例が報告された。「医療安全情報」で再発防止への取り組みが呼びかけられている。

インスリン投与後の経腸栄養剤の未注入に注意

 日本医療機能評価機構は、医療事故情報およびヒヤリ・ハット事例の収集・分析などを行う医療事故情報収集等事業を実施しており、5月17日に「医療安全情報」No.174を公表した。

 インスリン投与後、経腸栄養剤のルートの未接続や開始忘れなどにより、患者が低血糖をきたした事例が6件報告されたとしている(集計期間:2017年1月1日~2021年3月31日)。

 2つの事例をあげ、それぞれ医療機関の取組みを紹介。事故の発生予防、再発防止のために、次のことを注意するよう呼びかけている。

事例1
 看護師は、ノボラピッド注22単位を患者に皮下注射した後、経腸栄養剤の滴下を開始した。1時間30分後、シーツに経腸栄養剤が漏れており、接続部を確認すると、経腸栄養剤のルートを経鼻栄養チューブに接続していなかったことに気付いた。患者の血糖値が低下しており、20%ブドウ糖液を投与した。

事例が発生した医療機関の取組み
経腸栄養剤のルートを経鼻栄養チューブなどに接続したことを確認後に滴下を開始する。

事例2
 看護師Aが患者の血糖測定を行い、看護師Bがノボラピッド注10単位を皮下注射した。その後、看護師Aは経腸栄養剤の注入を忘れた。3時間後、主治医の回診時に患者の意識レベルが低下しており、血液検査とCT検査を行った。血糖値が11mg/dLであり、経腸栄養剤が注入されていなかったことが判明し、20%ブドウ糖液と経腸栄養剤を投与した。

事例が発生した医療機関の取組み
各患者へのインスリンと経腸栄養剤の投与について看護師間で情報共有する。

 同機構は「上記は一例です。自施設に合った取り組みを検討してください」としている。

公益財団法人 日本医療機能評価機構

[ TERAHATA / 日本医療・健康情報研究所 ]

糖尿病・内分泌プラクティスWeb 糖尿病・内分泌医療の臨床現場をリードする電子ジャーナル

糖尿病関連デジタルデバイスのエビデンスと使い方 糖尿病の各薬剤を処方する時に最低限注意するポイント(経口薬) 血糖推移をみる際のポイント!~薬剤選択にどう生かすか~
妊婦の糖代謝異常(妊娠糖尿病を含む)の診断と治療 糖尿病を有する女性の計画妊娠と妊娠・分娩・授乳期の注意点 下垂体機能低下症、橋本病、バセドウ病を有する女性の妊娠・不妊治療
インスリン・GLP-1受容体作動薬配合注 GIP/GLP-1受容体作動薬(チルゼパチド) CGMデータを活用したインスリン治療の最適化 1型糖尿病のインスリン治療 2型糖尿病のインスリン治療 最新インスリン注入デバイス(インスリンポンプなど)
肥満症治療薬としてのGLP-1受容体作動薬 肥満症患者の心理とスティグマ 肥満2型糖尿病を含めた代謝性疾患 肥満症治療の今後の展開
2型糖尿病の第1選択薬 肥満のある2型糖尿病の経口薬 高齢2型糖尿病の経口薬 心血管疾患のある2型糖尿病の経口薬

医薬品・医療機器・検査機器

糖尿病診療・療養指導で使用される製品を一覧で掲載。情報収集・整理にお役立てください。

一覧はこちら

最新ニュース記事

よく読まれている記事

関連情報・資料