「インスリン イコデク」が日本で承認申請 世界初の週1回投与の基礎インスリン製剤

2023.08.16
 ノボ ノルディスク ファーマは8月10日、週1回皮下投与のインスリンアナログ製剤「インスリン イコデク(遺伝子組換え)」について、「インスリン療法が適応となる糖尿病」を適応症として、承認申請を行ったと発表した。

 「インスリン イコデク」は世界ではじめての週1回投与の新しいBasalインスリン製剤。半減期は約1週間であり、長時間作用が持続する。皮下投与後に強力かつ可逆的にアルブミンと結合するが、持続的かつ緩徐にアルブミンから解離しインスリン受容体と結合して作用することで、血糖降下作用が1週間にわたり持続する。

世界ではじめての週1回投与の新しいBasalインスリン製剤

 ノボ ノルディスク ファーマは8月10日、週1回皮下投与のインスリンアナログ製剤「インスリン イコデク(遺伝子組換え)」について、「インスリン療法が適応となる糖尿病」を適応症として、承認申請を行ったと発表した。

 「インスリン イコデク」は世界ではじめての週1回投与の新しいBasalインスリン製剤。半減期は約1週間であり、長時間作用が持続する。皮下投与後に強力かつ可逆的にアルブミンと結合するが、持続的かつ緩徐にアルブミンから解離しインスリン受容体と結合して作用することで、血糖降下作用が1週間にわたり持続する。

 同剤は、700単位/mLと高濃度の製剤であるため、週1回投与の注射液量は1日1回の持効型溶解インスリンの1日投与量と同等としている。

 Basalインスリン製剤は、生理的なインスリンの基礎分泌を補充する目的で糖尿病患者の血糖管理に用いられ、通常1日1回もしくは2回の皮下注射が必要となるが、「インスリン イコデク」は、週1回皮下注射製剤であるため、従来のインスリン製剤よりも投与回数を大幅に減らすことができ、利便性が高く、患者の治療負担感の軽減により生活の質や治療実施率の向上を期待できるとしている。

 今回の承認申請は、「インスリン イコデク」の第3相試験プログラムであるONWARDS試験の結果にもとづいている。ONWARDS試験は、1型糖尿病または2型糖尿病の成人患者4,000例以上を対象とした6件のグローバル第3相臨床試験で構成され、そのうち4件の試験(ONWARDS 1、2、4、6)に日本人400例以上が参加している。ONWARDS試験はいずれも、「インスリン イコデク」の有効性および安全性を実薬対照と比較する無作為割り付け、並行群間、多施設共同、国際共同試験。

 ONWARDS試験を通じて、週1回投与の「インスリン イコデク」の、1日1回投与の持効型溶解インスリンと比較して非劣性が検証され、良好な有効性が認められた。また、すべての試験で、「インスリン イコデク」の投与は安全かつ忍容性は良好であり、予期されない安全性の問題は認められなかったとしている。

 「この画期的なインスリン製剤の登場により、これまでのBasalインスリンと比較して注射回数を大幅に減らすことができるため、治療における利便性と簡便性が大きく向上することが期待できます。糖尿病を有する高齢者が多く存在する日本においては、インスリン注射に家族はもとより、介護士や医療従事者のサポートが必要なことも多く、必要なインスリン治療を十分に行えないケースも少なくありません。また、インスリン注射に対する心理的抵抗性により、適切な時期にインスリン治療を開始することが難しいことも知られています。インスリン イコデクには、これらの課題も解決できる可能性があります」と、同社では述べている。

 ONWARDS 1試験では、インスリン治療歴のない2型糖尿病患者984例を対象に78週間投与での、インスリンを除く糖尿病治療薬の併用下でのインスリン イコデク週1回投与の効果および安全性が、インスリン グラルギン100単位/mL 1日1回投与と比較された。主要評価項目である、ベースラインから52週までのHbA1cの変化量について、インスリン グラルギンに対するインスリン イコデクの非劣性が検証された(p<0.0001)。

 ONWARDS 2試験では、Basalインスリン療法で治療中の2型糖尿病患者526例を対象に26週間投与での、インスリンを除く糖尿病治療薬の併用/非併用下でのインスリン イコデク週1回投与の効果および安全性が、インスリン デグルデク1日1回投与と比較された。主要評価項目である、ベースラインから26週までのHbA1cの変化量について、インスリン デグルデクに対するインスリン イコデクの非劣性が検証された(p<0.0001)。

 ONWARDS 4試験では、Basal-Bolus療法で治療中の2型糖尿病患者582例を対象に26週間投与での、インスリンを除く糖尿病治療薬の併用/非併用下でインスリン アスパルトを併用した場合の、インスリン イコデク週1回投与の効果および安全性がインスリン グラルギン100単位/mL 1日1回投与と比較された。主要評価項目である、ベースラインから26週までのHbA1cの変化量について、インスリン グラルギンに対するインスリン イコデクの非劣性が検証された(p<0.0001)。

 ONWARDS 6試験では、成人1型糖尿病患者582例を対象に52週間投与での、インスリン アスパルトの併用下でのインスリン イコデク週1回投与の効果および安全性がインスリンデグルデク1日1回投与と比較された。主要評価項目 である、ベースラインから26週までのHbA1cの変化量について、インスリン デグルデクに対するインスリン イコデクの非劣性が検証された(p=0.006)。

Insulin Icodec: An Insulin Analog Suited for Once-Weekly Dosing in Type 2 Diabetes (Diabetes 2020年6月1日)
Molecular and Biological Properties of Insulin Icodec, a New Insulin Analog Designed to Give a Long Half-Life Suitable for Once-Weekly Dosing (Diabetes 2020年6月1日)

Weekly Icodec versus Daily Glargine U100 in Type 2 Diabetes without Previous Insulin (New England Journal of Medicine 2023年7月27日)
Switching to once-weekly insulin icodec versus once-daily insulin degludec in individuals with basal insulin-treated type 2 diabetes (ONWARDS 2): a phase 3a, randomised, open label, multicentre, treat-to-target trial (Lancet Diabetes & Endocrinology 2023年5月3日)
Switching to once-weekly insulin icodec versus once-daily insulin glargine U100 in individuals with basal-bolus insulin-treated type 2 diabetes (ONWARDS 4): a phase 3a, randomised, open-label, multicentre, treat-to-target, non-inferiority trial (Lancet 2023年5月5日)
A Research Study to Compare a New Weekly Insulin, Insulin Icodec, and an Available Daily Insulin, Insulin Degludec, Both in Combination With Mealtime Insulin in People With Type 1 Diabetes (ONWARDS 6) (ClinicalTrials.gov)

Novo Nordisk Pro (ノボ ノルディスクファーマ)

[ TERAHATA / 日本医療・健康情報研究所 ]

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