日本肝臓学会と日本糖尿病学会が共同声明を発表 肝臓がんは糖尿病で増加する主要ながんの1つ
肝がんは、糖尿病で増加する主要ながんであり、「FIB-4インデックス」という指標が、リスク評価に極めて有効だとしている。
悪性新生物は、糖尿病外来で注意すべき合併疾患とみなされている。日本の糖尿病患者の死因の第1位は悪性新生物であり、近年その割合は増加の一途をたどっている。
日本糖尿病学会と日本癌学会の合同委員会による調査報告によると、糖尿病罹患によって全がん罹患のリスクは1.2倍になるとされ、臓器別では、肝がん1.97倍、膵がん1.85倍、大腸がん1.4倍の順にリスクが高いことが報告された。
肝がんは、糖尿病で増加する主要ながんの1つであり、2001年~2010年の糖尿病患者の死因調査では、臓器別で肺がんに次いで第2位だったという。近年、ウイルス肝炎を合併しない肝細胞がんが急増しており、背景に肥満・糖尿病患者の増加があると考えられている。
日本肝臓学会と日本糖尿病学会は、「今後、糖尿病外来診療で、肥満関連肝障害およびそれを母体とした肝細胞がんの発生は、注意を払うべき合併疾患となりうる」として、糖尿病外来での肝がんの発生実態の調査、糖尿病外来での肝がん高危険群の同定を目的とし、2012年より合同で委員会を設置し、糖尿病外来での肝細胞がん発生の実態調査を行ってきた。
その結果、「FIB-4インデックス」と呼ばれる肝臓の線維化を示す指標が、リスク評価に極めて有効であることを明らかにした。
FIB-4インデックスは、年齢、AST、ALT、血小板という日常臨床で用いられる項目のみで構成されており、日本肝臓学会のホームページでも計算が可能だ。
両学会による共同声明の詳細は、両学会ホームページで公開されている。