【新型コロナ】オミクロン株対応の2価ワクチンの4回目接種は副反応が少ない なぜ中和抗体が3回目接種以降に強く誘導されるかを解明

2023.01.26
 岡山大学は、モデルナ製オミクロン株対応2価ワクチン追加接種(4回目接種)後の副反応について調査報告をまとめ、局所反応・全身反応とも、副反応出現の割合は減少していることを発表した。

 一方、大阪大学は、新型コロナワクチンの2回目接種まででは十分に産生されないオミクロン変異株中和抗体が、3回目接種により強く誘導される仕組みを解明したと発表した。

モデルナ製オミクロン株対応2価ワクチン 4回目接種後の副反応は減少

 岡山大学は、モデルナ製オミクロン株対応2価ワクチン追加接種(4回目接種)後の副反応について調査報告をまとめた。

 武田/モデルナ製ワクチン3回目接種後の副反応に比べ、局所反応・全身反応とも、副反応出現の割合は減少した。

 たとえば、3回目接種後は37.5度以上の発熱は67.5%だったが、4回目接種後は44.9%に減少。4回目接種後の発熱も、3回目接種後と同様に、接種翌日まで続いた割合がもっとも高く、接種3日目以降も発熱が持続する人は少数だった。また、年齢別の比較では、30歳代以降では、20歳代までに比べ、発熱割合が低かった。

 4回目接種後の副反応の強さを主観で回答してもらったところ、3回目接種後に比べ、各局所反応・各全身反応すべてで「軽かった」という回答が、「重かった」という回答より多かった。また、副反応全般では、過半数が、主観で3回目接種に比べて軽かったと答えた。

 さらに、ほとんどの人は自発的に4回目接種を受けており、過半数は「身近な人にも接種を勧める」と回答した。

 研究は、岡山大学大学院医歯薬学総合研究科疫学・衛生学分野の頼藤貴志教授らによるもの。

 「追加(4回目)接種は、オミクロン株対応の2価ワクチンでの接種となりましたが、副反応は、接種回数を経るごとに出現頻度が減っており、副反応全般では、多くの方が3回目と比べて軽くなったと回答していました。また、大体の副反応は接種翌々日には落ち着いています。接種を考える際の判断や準備の参考にしていただけますと幸いです」と、頼藤教授は述べている。

 「新型コロナウイルスワクチン4回目接種が進行中ですが、若者世代での接種率はなかなか伸びない傾向にあります。本調査は、対象が男女半々で若い方が多く含まれていることから、ワクチン接種における判断に有用な情報を提供するものと思われます」としている。

 調査は、大学拠点接種として岡山大学で行われた、新型コロナワクチン(モデルナオミクロン株対応2価ワクチン)の追加接種(4回目接種)後の副反応の頻度を評価したもの。岡山大学教職員および学生の合計955人が調査に回答し、4回目接種となる922人を対象に解析した。

出典:岡山大学、2023年

岡山大学大学院医歯薬学総合研究科疫学・衛生学分野
新型コロナウイルスワクチン情報 新型コロナウイルスワクチン接種後副反応調査

新型コロナワクチン3回目接種により
オミクロン中和抗体が産生される仕組みを解明

 大阪大学は、新型コロナワクチンの2回目接種まででは十分に産生されないオミクロン変異株中和抗体が、3回目接種により強く誘導される仕組みを解明したと発表した。

 mRNAワクチン接種者検体より、新型コロナウイルス抗原特異的B細胞を解析した結果、2回目ワクチン接種前と3回目ワクチン接種前の記憶B細胞の性能は大きく異なっており、2回目接種後に時間を経た体内には性質を変化させた記憶B細胞が蓄積していることが分かった。

 B細胞、T細胞といったリンパ球は、細菌・ウイルスなどの感染で、生体防御反応の中心的役割をになっている。研究グループは今回、ワクチン接種者のB細胞を1細胞ずつ解析することで、3回目接種前の記憶B細胞はウイルス抗原への親和性が向上しているだけでなく、抗原を認識している場所(エピトープ)も変化しており、3回目接種時にはこの記憶B細胞がオミクロン変異株も中和できる抗体を産生していることを突き止めた。

 さらにマウスを使った実験から、ワクチン接種によって産生された抗体が記憶B細胞の質の変化に影響を与えている可能性を示した。

 ウイルスのスパイクタンパク質のRBD領域にはB細胞が応答しやすい場所(ドミナントエピトープ)と応答しにくい場所(サブドミナントエピトープ)があり、2回目接種前までではドミナントエピトープを認識する記憶B細胞が主に誘導されていた。

 3回目接種前の血中には、サブドミナントエピトープを認識する記憶B細胞の割合が増加しており、このエピトープを認識する抗体は、オミクロン株に対しても結合能、中和活性をある程度保持していることが分かった。

 これにより、3回目ワクチン接種で活性化されることで、オミクロン株を中和できる抗体が血中に産生されると考えられるとしている。

 研究は、大阪大学免疫学フロンティア研究センター(IFReC)分化制御研究室の井上毅特任准教授、黒﨑知博特任教授らの研究グループによるもの。研究成果は、「Journal of Experimental Medicine」にオンライン掲載された。

抗体フィードバックによる記憶B細胞のエピトープ変化によって、3回目接種後にオミクロン株中和抗体が産生される
出典:大阪大学、2023年

大阪大学免疫学フロンティア研究センター 分化制御研究室
Antibody feedback contributes to facilitating the development of Omicron-reactive memory B cells in SARS-CoV-2 mRNA vaccines (Journal of Experimental Medicine 2022年12月13日)

[ TERAHATA / 日本医療・健康情報研究所 ]

糖尿病・内分泌プラクティスWeb 糖尿病・内分泌医療の臨床現場をリードする電子ジャーナル

脂質異常症の食事療法のエビデンスと指導 高TG血症に対する治療介入を実践 見逃してはいけない家族性高コレステロール血症
SGLT2阻害薬を高齢者でどう使う 週1回インスリン製剤がもたらす変革 高齢1型糖尿病の治療 糖尿病治療と認知症予防 高齢者糖尿病のオンライン診療 高齢者糖尿病の支援サービス
GLP-1受容体作動薬の種類と使い分け インスリンの種類と使い方 糖尿病の経口薬で最低限注意するポイント 血糖推移をみる際のポイント~薬剤選択にどう生かすか~ 糖尿病関連デジタルデバイスの使い方 1型糖尿病の治療選択肢(インスリンポンプ・CGMなど) 二次性高血圧 低ナトリウム血症 妊娠中の甲状腺疾患 ステロイド薬の使い分け 下垂体機能検査
NAFLD/NASH 糖尿病と歯周病 肥満の外科治療-減量・代謝改善手術- 骨粗鬆症治療薬 脂質異常症の治療-コレステロール低下薬 がんと糖尿病 クッシング症候群 甲状腺結節 原発性アルドステロン症 FGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症 褐色細胞腫

医薬品・医療機器・検査機器

糖尿病診療・療養指導で使用される製品を一覧で掲載。情報収集・整理にお役立てください。

一覧はこちら

最新ニュース記事

よく読まれている記事

関連情報・資料