新しいクローズドループインスリン注入システムをFDAが承認 自動化をさらに促進 初期設定で必要なのは体重のみ
Bionic pancreas improves type 1 diabetes management compared to standard insulin delivery methods
承認されたデバイスは、Beta Bionics社の「Beta Bionics iLet ACE」というインスリン注入ポンプと、「iLet Dosing Decision」というインスリン投与量を決定するためのソフトウェア。これら二つのデバイスは、FDA承認済みで互換性のある持続血糖モニター(CGM)とともに、「iLet Bionic Pancreas」と呼ばれる、自動インスリン投与(automated insulin dosing;AID)システムとして利用する。このAIDシステム全体で、血糖変動に見合った適切なインスリン必要量がアルゴリズムに従って決定され、その量が自動的に投与される。
従来型のインスリン注入ポンプシステムでは、使用開始に際してインスリン投与量などの初期設定を手動で入力していた。それに対してiLet Bionic Pancreasは、そのステップが不要。初期設定では患者の体重のみを入力し、使用を開始できる。また、追加インスリンの投与量決定のために、これまでは摂取する食品の炭水化物量(カーボカウント)の入力を要していたが、これを簡略化しており、炭水化物量を「少ない」、「普通」、「多い」の3種類から選んで指示するのみとされている。iLet Bionic Pancreasは、与えられたその情報とその後の血糖変動などの情報を基に学習を重ねていき、使用者に適した追加インスリン必要量の予測精度を徐々に高めていく。
FDAのJeff Shuren氏は、「今回の承認は、1型糖尿病の人々の血糖管理のための追加の選択肢とフレキシビリティーを提供するものであり、また今後のAIDテクノロジーの適用範囲拡大につながるものだ。FDAは精密医療のアプローチを通じて、糖尿病のような日々の管理が欠かせない慢性疾患を抱える人々の健康と生活の質の改善に結びつく、新しい機器のイノベーションを推進することに尽力している」と述べている。
[HealthDay News 2023年5月25日]
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