【新型コロナ】J&Jの1回接種のCOVID-19ワクチン 抗体とT細胞免疫応答が接種後8ヵ月間強く安定して持続

2021.07.20
 ジョンソン・エンド・ジョンソンの1回接種のCOVID-19ワクチンが、デルタ変異株をはじめとする懸念されるSARS-CoV-2変異株に対して、持続的な免疫応答を示し、二重の防御メカニズムを引き起こすことを実証したデータが「New England Journal of Medicine」に掲載された。

J&JのCOVID-19ワクチンは変異株に対しても二重の防御メカニズムを誘導

 「New England Journal of Medicine」に掲載された第1/2a相試験のサブスタディの中間結果によると、ジョンソン・エンド・ジョンソンの1回接種のCOVID-19ワクチンによって産生された液性(抗体)免疫応答および細胞性(T細胞)免疫応答は、これまで評価されてきた期間である接種後8ヵ月間は強く安定して持続している。

 また、感染した細胞を探し出して破壊する重要なCD8+ T細胞を含むT細胞反応が、8ヵ月間にわたって持続したというデータも得られた。同社は、この第1/2a相試験のサブスタディのトップラインに関するプレプリント結果を7月1日に発表した。

 Beth Israel Deaconess Medical CenterのDan Barouch医師(M.D.、Ph.D.)らと共同で実施された同試験のデータは、さらなるブースター接種を行わなくてもB細胞の反応が成熟していることを示唆している。成熟したB細胞は抗体を産生し、COVID-19の原因となるウイルスの感染力低下に役立つ。

 試験結果では、ジョンソン・エンド・ジョンソンのCOVID-19ワクチンの単回接種により、SARS-CoV-2の野生株(WA1/2020)に加え、デルタ変異株(B.1.617.2)、アルファ変異株(B.1.1.7)、ベータ変異株(B.1.351)、ガンマ変異株(P.1)、エプシロン変異株(B.1.429)、カッパ変異株(B.1.617.1)などの懸念される他のSARS-CoV-2変異株によるCOVID-19疾患に対しても、二重の防御メカニズムが誘導されることが示された。

 これらのデータは、8ヵ月間で中和抗体が増加したことを示唆しており、それに加えて、持続的なT細胞反応が観察され、B細胞の成熟が示唆されている。

8ヵ月の間に変異株に特化した中和抗体が増加しB細胞反応が成熟

 ジョンソン・エンド・ジョンソンのCOVID-19ワクチンは、AdVacワクチンプラットフォームの専有技術を活用している。この技術は、ヤンセンが欧州委員会に承認されたエボラワクチンレジメンの開発・製造、さらにジカ熱、RSV、HIVワクチン候補の開発にも使用されている。

 同ワクチンの、現在進行中の第1/2a相多施設共同、無作為化、二重盲検、プラセボ対照試験は、健康な成人を対象に、2種類の用量(5x1010または1x1011ウイルス粒子)を単回接種または8週間間隔で2回接種のスケジュールで筋肉内に投与し、安全性、反応原性、免疫原性を評価することを目的として実施されている。同試験は、ベルギーおよび米国の複数の臨床施設で実施されている。

 今回のサブスタディの結果は、現在進行中の第1/2a相試験のコホート1bにあたるもので、Beth Israel Deaconess Medical Centerの単一施設で、18~55歳の成人25名が参加し、詳細な記述式の探索的免疫原性試験が実施された。現在、試験参加者に対し追加の追跡調査も行われている。

 「これらの査読付きデータは、当社の1回接種COVID-19ワクチンによる、デルタ変異株を含む懸念される変異株に対する二重の防御メカニズムを可能にする持続的な液性・細胞性免疫応答について、さらに深い洞察を与えてくれます。このスタディにより、ワクチン接種後、8ヵ月の間に変異株に特化した中和抗体が増加し、B細胞反応の成熟を示唆するデータが得られました。さらに、T細胞応答がとくに強く、経時的に安定しており、これは、これら変異株に対する活性に重要である可能性があります」と、同社では述べている。

COVID-19ワクチンの有効性はB細胞およびT細胞に関する広範な免疫で考慮されるべき

 これらのデータは、以前Natureに掲載された、ワクチンには個人の免疫系の複数の構成要素を引き起こす能力があることを示すエビデンスや、Natureに掲載された、非ヒト霊長類におけるベータ変異株に起因するSARS-CoV-2感染に対する有効性に関する非臨床データを拡張し、補完するものとしている。

 これらの分析結果を総合すると、COVID-19に対するワクチンの有効性は、変異株による疾患を含め、非中和抗体、B細胞およびT細胞の役割に関するより広範な免疫の状況の中で考慮されるべきであることが示されている。

 bioRxivに掲載された第3相ENSEMBLE試験の参加者の一部(n=8)から得られた血液サンプルを新たに分析した追加データによると、同社の1回接種COVID-19ワクチンは、最近南アフリカでベータ変異株に対して観察されたものよりも高いレベルで、デルタ変異株に対する中和抗体活性を引き起こした。

Durable Humoral and Cellular Immune Responses 8 Months after Ad26.COV2.S Vaccination(New England Journal of Medicine 2021年7月14日)

[ TERAHATA / 日本医療・健康情報研究所 ]

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