【新型コロナ】看護職の4割強が「仕事を辞めたい、自信がなくなった」 コロナ禍では看護職の精神健康ケアも必要

2021.02.16
 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行下で、病院勤務の看護職の精神健康の状態が悪化していることが明らかになった。
 看護職の4割強が、COVID-19の感染拡大の影響で、「看護職の仕事を辞めたいと思った、自信がなくなった」と考えていることが、東北大学の調査で分かった。
 COVID-19の流行は、その程度の大小にかかわらず、看護職の精神健康にもネガティブな影響をもたらしている。看護職の精神健康ケアも必要とされている。

コロナ禍で医療従事者のメンタルヘルスの維持も重要な問題に

 昨今の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行下では、医療従事者の精神健康(メンタルヘルス)の維持が重要な問題となっている。

 そこで東北大学は、COVID-19の流行拡大時での看護職の精神健康の変化と離職意向の状態を調査し、その結果を発表した。調査は、同大大学院医学系研究科の看護管理学分野の朝倉京子教授らの研究グループによるもの。

 研究グループははじめに、2020年12月上旬の感染者数のデータをもとに、人口10万人あたりの感染者数が相対的に多い4都道府県、感染者数が相対的に少ない4都道府県を選定し、該当する都道府県から無作為に病院を抽出した。

 次に、抽出された病院に勤務する看護職1万人を調査対象とし、2021年1月、オンライン調査を実施。精神健康の測定には心理尺度(K6)を用い、離職意向の測定には自作の2つの質問項目を用いた。

精神健康のカットオフ値を超える看護職はコロナ禍で2倍近くに増加

 調査の結果、2,273人から回答(回収率22.7%、2021年1月27日時点)が得られた。対象となった看護職の精神健康得点の平均値は8.52±5.88点となり、平時に看護職を対象として実施した調査(2014年1月、看護職5,557人を対象とし、感染症の感染拡大や災害のない時期に行った)の精神健康得点の平均値5.41±5.88点を大きく上回っていたことがわかった。

 人口当たりの感染者数が相対的に多い地域で勤務する看護職の精神健康の平均値は8.30±5.95、人口当たりの感染者数が相対的に少ない地域で勤務する看護職の精神健康の平均値は8.78±5.79であり、両者に統計的な有意差は認められなかった。

 また、精神健康(K6)の得点が10点を超える看護職は、2014年1月の平時の調査では対象者全体の20.8%だったが、2021年1月の調査では39.8%であった。K6の10点以上は、気分障害・不安障害の一次スクリーニングをする際の目安として推奨されている。

コロナ禍は看護職の精神健康にもネガティブな影響をもたらしている
出典:東北大学大学院医学系研究科 看護管理学分野、2021年

42.3%が看護職の仕事を続ける自信を失う経験をしている

 さらに、「新型コロナウイルス感染症の拡大の影響で、看護職の仕事を辞めたいと思ったことがありましたか?」の質問に対し、「たびたびあった」との回答が15.6%(355人)、「ときどきあった」との回答が27.3%(620人)で、合計42.9%(975人)の看護職がCOVID-19の感染拡大の影響で、看護職の仕事を辞めたいと思う経験をしていたことが明らかになった。

 さらに、「新型コロナウイルス感染症の拡大の影響で、看護職の仕事を続ける自信がなくなったことがありましたか?」の質問に対し、「たびたびあった」との回答が12.3%(280人)、「ときどきあった」との回答が30.0%(681人)であり、合計42.3%(961人)の看護職がCOVID-19拡大の影響で、看護職の仕事を続ける自信を失う経験をしていた。

 「今回の研究の結果は、COVID-19流行下での看護職の精神健康ケアの必要性に警鐘を鳴らすものであり、COVID-19の流行拡大時の医療体制の維持に関する政策決定や勤務病院などでの対策について、大きく寄与するものと期待されます」と、研究者は述べている。

東北大学大学院医学系研究科 看護管理学分野
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