低炭水化物食開始6ヵ月は糖尿病寛解率が有意に高い

2021.01.22
 2型糖尿病患者が低炭水化物食による食事療法を行った場合、開始から6ヵ月では糖尿病寛解率が有意に高く、12ヵ月経過すると有意でなくなるというメタ解析の結果が報告された。米テキサスA&M大学のJoshua Z. Goldenberg氏らの研究によるもので、「the BMJ」に1月13日掲載された。

 Goldenberg氏らは、2型糖尿病治療での低炭水化物食の有効性と安全性を検討するため、システマティックレビューとメタ解析を実施。炭水化物摂取量が130g/日未満または摂取エネルギー比26%未満の低炭水化物食、および、50g/日未満または摂取エネルギー比10%未満というより厳格な超低炭水化物食のいずれかによる23件のランダム化比較試験を抽出した。

 これらの試験の参加者数は12~144人(合計1,357人)で、平均年齢は47~67歳であり、23件中14件はインスリン療法中の患者を対象としていた。比較対照群では低脂肪食などの一般的な食事療法が行われていた。評価項目は、開始6ヵ月時点と12ヵ月時点での糖尿病の寛解(HbA1c6.5%未満で定義)と、HbA1c、体重、有害事象、血清脂質、QOLなど。

 超低炭水化物食を含む低炭水化物食群は、対照群に比較し6ヵ月時点での糖尿病寛解率が有意に高かった〔リスク比(RR)1.87(95%信頼区間1.18~2.97)〕。ただし、血糖降下薬使用症例を除外した検討では、RR1.24(同0.65~2.38)となり有意でなかった。また、12ヵ月時点では、血糖降下薬使用の有無にかかわらず、寛解率に有意差は認められなかった。

 体重とHbA1cについては、6ヵ月時点では低炭水化物食群の方が有意に低値だったが、12ヵ月時点では有意差が消失していた。なお、超低炭水化物食群のみで解析すると、6ヵ月時点でも有意差が認められなかった。ただし、この点は食事療法の順守状況によって説明可能だった。

 中性脂肪値とインスリン感受性については、6ヵ月時点で低炭水化物食群の方が良好であり、12ヵ月時点でも有意差が保たれていた。LDL-コレステロールとQOLは6ヵ月時点では有意差がないものの、12ヵ月時点では低炭水化物食群の方がQOL低値、LDL-コレステロール高値であり、有意差が存在した。有害事象に関してはいずれの時点でも有意差がなかった。

 これら一連の結果から、著者らは「6ヵ月までの低炭水化物食は、QOLなどに悪影響を及ぼすことなく糖尿病の寛解を増やすことができるかもしれない。血糖モニタリングにより血糖降下薬の処方を調整しながら、短期間の低炭水化物食を試みても良いのではないか」と結論付けている。

 なお、一部の著者が技術開発・研究企業との利益相反(COI)に関する情報を明らかにしている。

[HealthDay News 2021年1月14日]

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