グルコースモニタシステムが医療機器改修 Dexcom G7 CGM システム PMDAが公開
対象となる製品は、iPhoneユーザー向けのDexcom G7アプリのバージョン2.7.0。出荷時期は2024年5月~2025年5月20日としている。

対象ユーザーにアプリのバージョンアップを注意喚起
医薬品医療機器総合機構(PMDA)は、グルコースモニタシステムについて、医療機器改修(クラスII)の情報を公開した。対象となるのは、「Dexcom G6 CGM システム」で、製造販売業者はDexCom Japan合同会社。
対象となる製品は、iPhoneユーザー向けのDexcom G7アプリのバージョン2.7.0。出荷時期は2024年5月~2025年5月20日で(該当バージョンは強制停止)、該当バージョンのユーザー数92人(2025年4月時点)としている。
製造元での社内調査を実施したところ、iPhoneユーザー向けのDexcom G7アプリ【iOS v2.7.0】を使用している場合、特定の条件下でアプリが測定値の更新を停止し、アラートを送信せず、代わりに古いデータが表示される可能性があることが分かった。
iPhoneユーザーすべてで発生するわけではなく、Dexcom G7アプリ【iOS v2.7.0】を使用し、Apple社のHealthKitとの統合を有効にしているユーザーにのみ発生する可能性が確認された。これは、Dexcom G7アプリ【iOS v2.7.0】がHealthKitを何度もチェックしようとした場合にエラーが発生することが原因としている。Apple社との協働調査の結果、このエラーはDexcom G7アプリ【iOS v2.7.0】のバグにより発生していると判明した。
通常、5分毎に測定値がアップデートされ、測定値の表示の下に測定値の遷移を示すグラフが表示されるが、このエラーが発生した場合、グラフ画面が更新されず、グラフ上の測定値が表示されない状態となるという。
また、アプリが測定値の更新を停止しているため、低値/高値、急上昇/急降下アラートなどが鳴動しない状態となる。
この不具合を解消したDexcom G7アプリ【iOS v2.8.0】が、2025年3月25日にすでにリリースされており、これ以降に新規のユーザーが該当アプリをインストールして使用を開始する際には不具合のあるDexcom G7アプリ【iOS v2.7.0】はインストールされない。そのためこの事象の対象者が今後増加することはないとしている。
対象となるユーザーに向けて2025年5月6日から、アプリ上に該当する事象内容、およびエラーを解消したアプリへのバージョンアップを注意喚起するメッセージを表示している。また、エラーのあるアプリは2025年5月20日以降は、強制的に利用できない状態となる。アップデートすることで、継続して利用できる。
不具合が発生した場合は、センサーに表示されている測定値と実際の血糖値が異なる状態となる可能性が考えられる。万が一、この事象の発生により更新が停止した状態となっていても、アプリ上にCGMの特徴であるグラフが表示されないため、使用者は日常的に使用している表示とは異なることに気づき、表示デバイスの異常を認識する可能性が高いと考えられる。
また、アラート機能が鳴動しないことで一時的に低血糖/高血糖のイベントを見逃す可能性があるが、著しい高血糖/低血糖状態の場合、多くは口渇や倦怠感、目まいなどの自覚症状が発生する。その際、必要に応じて血糖自己測定器を併用し、患者自身が低血糖/高血糖のイベントの発生に気が付くことができ、添付文書に記載の通り、必要に応じて血糖自己測定器を併用し、医師による治療決定および医師と事前に取り決められた範囲で、低血糖の場合は糖分摂取、高血糖の場合は運動やインスリン投与で血糖がコントロール可能としている。
そのため、画面上のデータが更新されない事象が発生したとしても、重篤な健康被害の発生には至らないものと考えられる。
なお、同社のテクニカルサポートでは、製品不具合に関する電話/Webによるサポートを提供している。この事象のような表示デバイスの異常を使用者が認識した場合、通常、問い合わせをしてもらったうえで必要な対応について情報を提供している。
この事象に関連した苦情は、2025年2月までに全世界で111件の報告(日本では1件、画面がフリーズしているとの報告)が確認されているが、重篤な健康被害の発生はなかったしている。
Dexcom Continuous Glucose Monitoring
デクスコムジャパン合同会社