糖尿病・慢性腎臓病(CKD)のためのKDIGO診療ガイドライン2020年版を公表

2020.11.26
糖尿病とCKD診療のKDIGOガイドライン2020
 腎臓病ガイドラインに関する国際機関であるKDIGO(Kidney Disease:Improving Global Outcomes)による、糖尿病および慢性腎臓病(CKD)患者管理のための診療ガイドライン2020年版が「Annals of Internal Medicine」に11月10日掲載された。米ベイラー医科大学のSankar D. Navaneethan氏らによるもので、推奨事項と実践的なポイントを臨床医向けに要約した内容。

 ガイドラインには、推奨事項として12項目、実践的ポイントとして48項目が掲げられている。主な内容は、包括的ケア、血糖モニタリングと管理目標、生活習慣の是正、血糖降下療法、患者教育など。推奨グレードは、強い推奨が「1」、弱い推奨が「2」で、エビデンスレベルをA~Dのアルファベットで付記している。

 各項目の一部を挙げると、まずRAS阻害薬(アンジオテンシン変換酵素阻害薬またはアンジオテンシンII受容体拮抗薬)の使用に関して、「糖尿病、高血圧、およびアルブミン尿の見られる患者では、これらの薬剤を許容される最大量まで用いる」ことを推奨(グレード1B)。血糖管理目標に関しては、「糖尿病患者および透析治療を受けていないCKD患者には、6.5%未満から8.0%未満の範囲内で、個別の治療目標を設定する」(同1C)としている。

 生活療法のうち食事関連では、「糖尿病および透析治療を受けていないCKD患者のタンパク質摂取量は0.8g/kg/日を維持」(同2C)、「ナトリウム摂取量は2g/日(塩化ナトリウムとして5g/日)未満」(同2C)などを掲げ、運動関連では「中強度の身体活動を週に少なくとも150分」を推奨(同1D)。また喫煙者に対する「禁煙のアドバイス」をグレード1Dとしている。

 血糖降下薬については、2型糖尿病患者で推算糸球体濾過量(eGFR)30mL/分/1.73m²以上では、メトホルミンとSGLT2阻害薬を推奨。推奨グレードは前者が1B、後者は1A。また、これら両剤を用いているにもかかわらず管理目標未到達の場合、またはこれら両剤を使用できない場合は、長時間作用型GLP-1受容体作動薬をグレード1Bで推奨している。

 著者らは、「この新ガイドラインが、世界中の糖尿病患者やCKD患者への、エビデンスに基づく質の高いケアの提供に結び付くだろう」と述べている。

 なお、数名の著者が製薬企業との利益相反(COI)に関する情報を明らかにしている。

[HealthDay News 2020年11月18日]

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