日本初の医師向けオンライン診療手引書が完成 遠隔医療開始の準備、診療の質を保つためのポイントなどを解説 慶應大
2020.10.28
慶應義塾大学医学部が、国内初の医師向けオンライン診療手引書を完成したと発表した。手引書は、診療、法律、技術に関する3セクションから構成されており、医師が理解しておくべき点についてまとめてある。
診療内容に根差した医療の質を保つための工夫を解説
インターネットなどの情報通信技術の進歩にともない、テレビ電話などを用いた遠隔医療が行われるようになり、2018年4月からは医師がテレビ電話で患者を診察する「オンライン診療」の一部が保険診療として認められたことで、今後の普及が期待されている。 また現在、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、電話やタブレット端末などを使ったオンライン診療が初診から認められている。 オンライン診療の普及に欠かせないのが、遠隔医療を法令に則り正しく開始し、安全に診療の質を保ちながら提供できるようにするための医師向けの手引書(ガイドブック)だ。海外にはそうした手引書があるが、これまで日本にはなかった。 厚生労働省より2018年3月に発出された「オンライン診療の適切な実施に関する指針」など、遠隔医療に関連する法令やガイドラインは多いが、膨大かつ難解で、医師にとってすべてを理解するのは困難な面があった。また、これらの法令やガイドラインは、診療内容に根差した医療の質を保つための工夫についてはふれられていない。 そこで、慶應義塾大学医学部精神・神経科学教室の岸本泰士郎専任講師らの研究グループは、アメリカ遠隔医療学会(ATA)の協力を得ながら、医師・法律家・技術専門家による協議を重ね、安全で質の高い精神科の遠隔医療を患者に届けるため、精神科領域における医師向けの手引書を作成した。 同手引書は、2016~2017年度に実施した日本医療研究開発機構(AMED)の委託研究の一部として作成された暫定版を発展させるかたちで完成させたものだ。 手引書はWebサイト上で公開されている。[Terahata / 日本医療・健康情報研究所]