日本糖尿病学会が第4次「対糖尿病戦略5ヵ年計画」を公表 糖尿病対策に関する基本方針を策定

2020.08.20
 日本糖尿病学会(理事長:植木浩二郎・国立国際医療研究センター研究所 糖尿病研究センター長)は、第4次「対糖尿病戦略5ヵ年計画」(第4次「対糖尿病戦略5ヵ年計画」作成委員会、委員長:綿田裕孝)を公表した。
 日本糖尿病学会の「対糖尿病戦略5ヵ年計画」は、5ヵ年間の糖尿病対策に関する基本方針を策定するもので、2004年に第1次が策定され、第2次(2010年)、第3次(2015年)と受け継がれてきた。

 同学会は、糖尿病発症とその合併症の予防を社会的急務として「5ヵ年計画」を策定、その対策に取り組み始めた。第2次では、具体的活動目標として「アクションプラン2010(DREAMS)」を掲げ、第3次では「DREAMS」の実現による糖尿病学の発展と糖尿病医療の向上を目指し、これまで絶え間なく糖尿病対策の充実に努めてきた。

 日本人糖尿病患者の寿命が大幅に延伸しており、同学会の糖尿病対策は成果を得られている。同学会の「糖尿病の死因に関する調査委員会」による調査では2001~2010年の10年間の日本人糖尿病患者の平均死亡時年齢は、男性が71.4歳、女性が75.1歳で、その前の10年間に比べ、男性で3.4歳、女性で3.5歳延びた。さらに、平均寿命と糖尿病患者の平均死亡時年齢との差も、男性8.2歳、女性11.2歳とこれまでの最小となった。

 一方、同学会の「糖尿病の死因に関する調査委員会」による調査結果では、糖尿病治療継続中か否かを考慮しない場合には、糖尿病患者と糖尿病でない人の寿命には依然として差があることが示されている。

血糖コントロール目標や危険因子のコントロール目標を個別に設定

 これらをふまえ、同学会は第4次「対糖尿病戦略5ヵ年計画」では、以下を具体的目標として設定した。
(1) 糖尿病患者と非糖尿病患者の寿命の差をさらに短縮させる。
(2) 糖尿病患者の生活の質(Quality of Life:QOL)を改善させる。

 とくに多様性に富む2型糖尿病の個別化医療実現のためには、下記の各項目の段階的な確立が必要だとしている。
(1) 各患者の糖尿病の病態とともに、その古典的合併症、動脈硬化性疾患、癌などの併存疾患の病態とその進行度を総合的に把握する方法を確立する。
(2) (1)の情報と患者のおかれている状況に基づいて、血糖コントロール目標および、動脈硬化性疾患の危険因子などのコントロール目標を個別に設定できるようにする。
(3) (2)により設定された目標を効率よく達成するために、食事療法、運動療法、薬物療法を含む最適な治療レシピを構築できるようにする。さらに、既存の治療よりも効果的な新規治療法の確立を目指す。

 1型糖尿病についても、「個別の患者がどのような新規治療の対象となるのかを明らかにして、先進医療の恩恵を最適化していくことが不可欠」としている。1型糖尿病の治療では、より効果的な強化療法を実現する新規インスリンアナログ製剤の開発、さらには最新のインスリン注入アルゴリズムを応用した「人工膵臓」ともいえる新しいインスリン注入ポンプの開発が実用化されようとしている。これに加え、失われた膵β細胞の機能を代替するための、膵臓移植、膵島移植に関してはさらなる治療成績の向上が望まれている。人工多能性幹細胞(iPS細胞)や他の幹細胞を利用した膵β細胞移植治療の開発とその実用化も望まれている。

 これらの目標達成のために、第3次の基本路線を踏襲しつつ、第4次では新たな計画を策定した。同学会は今後、掲げた目標を達成すべくさまざまな活動を行っていく。「今後の研究・診療・教育などさまざまな場面でご活用頂ければと思います」としている。

出典:日本糖尿病学会、2020年

一般社団法人 日本糖尿病学会

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