急性心筋梗塞後の心不全発症に対するジャディアンスの影響を評価する研究を開始 デューク臨床研究所と共同で実施
2020.06.24
ベーリンガーインゲルハイムとイーライリリー・アンド・カンパニーは、SGLT2阻害薬「ジャディアンス」(一般名:エンパグリフロジン)が、糖尿病の合併の有無を問わず、急性心筋梗塞を発症した成人の予後を改善し、心不全の発症を抑制できるかどうかを評価する共同研究を開始すると発表した。
糖尿病の合併の有無を問わず、急性心筋梗塞後の心不全発症に対する、SGLT2阻害薬の影響を評価
ベーリンガーインゲルハイムとイーライリリー・アンド・カンパニーは、EMPACT-MI試験(急性心筋梗塞後の慢性心不全の発症および死亡に対するエンパグリフロジンの影響を評価する試験)に関して、デューク臨床研究所(DCRI)と共同研究を開始すると発表した。 この共同研究では、SGLT2阻害薬「ジャディアンス」が糖尿病の合併の有無を問わず、一般的に心臓発作として知られている急性心筋梗塞を発症した成人の予後を改善し、心不全の発症を抑制できるかどうかを評価する。この無作為化試験は、両社よる資金提供のもと、DCRIと共同で実施、解析し報告される予定。 EMPACT-MI試験は、SGLT2阻害薬として初めて、糖尿病の合併の有無を問わず、急性心筋梗塞後の心不全発症に対する影響を評価する試験。同試験では、16ヵ国以上から急性心筋梗塞の既往歴がある約3,300人の患者が組み入れられる。全死亡および心不全による入院に対するジャディアンスの影響を評価する。 今回の共同研究は、日常臨床のデータを用いてエビデンスを構築するPragmatic clinical trialであり、実臨床の医療制度下における治療とアウトカムとの関係に焦点をおいている。 EMPACT-MI試験の共同代表者を務めるDCRIのエグゼクティブディレクターのAdrian Hernandez氏は、「今回の共同研究は、急性心筋梗塞を発症した患者の生命をどのように守るのかを知る上で重要な一歩となります。心筋梗塞は心疾患の中で最も多い死因です。この試験は、心筋梗塞を発症した患者の生存率を高め、心不全への進行を抑制する可能性を評価するSGLT2阻害薬として初めての試験です」と述べている。 ジャディアンスは、1日1回経口投与の選択性の高いSGLT2阻害薬であり、心血管死のリスク減少に関するデータが複数の国の添付文書に記載された初めての2型糖尿病治療薬。SGLT2を阻害することで、過剰な糖を尿中に排出させ、さらに塩分(ナトリウム)を体外に排出させ、循環血漿量を低下させる。ジャディアンスによる体内の糖・塩分・水の代謝変化がEMPA-REG OUTCOME試験で確認された心血管死の減少に寄与する可能性が示唆されている。 なお、日本におけるジャディアンスの効能・効果は2型糖尿病であり、心血管イベントおよび腎臓病のリスク減少に関連する効能・効果、慢性心不全の適応は取得していない。 ベーリンガーインゲルハイム日本イーライリリー
[Terahata / 日本医療・健康情報研究所]