2型糖尿病治療薬「ゾルトファイ配合注」発売 はじめての持効型溶解インスリンとGLP-1アナログの配合注射液
2019.10.02
ノボ ノルディスク ファーマは9月26日、インスリン療法が適応となる2型糖尿病を効能・効果とする、持効型溶解インスリンアナログ/ヒトGLP-1アナログ 配合注射液「ゾルトファイ配合注 フレックスタッチ」(一般名:インスリン デグルデク<遺伝子組換え>/リラグルチド<遺伝子組換え>)を発売した。
国内初 基礎インスリンとGLP-1受容体作動薬の配合剤
「ゾルトファイ配合注」は、持効型溶解インスリンアナログ「トレシーバ(インスリン デグルデク)」と、ヒトGLP-1アナログ「ビクトーザ(リラグルチド)」を固定比率で配合した新医療用配合剤で、国内初にして唯一の基礎インスリンとGLP-1受容体作動薬の配合注射液。 同剤の用量単位である1ドーズには、インスリン デグルデク1単位およびリラグルチド0.036 mgが含まれる。成人では、初期は1日1回10ドーズを皮下注射する。投与量は患者の状態に応じて適宜増減するが、1日50ドーズを超えないようにする。注射時刻は原則として毎日一定とする。 同剤は、あらかじめ薬液が充填された軽くて押しやすいプレフィルドペン型注入器「フレックスタッチ」により提供され、食事のタイミングに関わらず投与することが可能。 近年のインスリンアナログ製剤は、インスリン療法をより安全で効果的なものにしたが、体重増加や低血糖などの課題が残っており、これらがインスリン療法を開始する際の妨げになることもある。 同剤について、国内では2つの第3相臨床試験が実施され、1日1回投与で低血糖の発現頻度を高めることなく、優れたHbA1cの低下と1日にわたる安定した血糖コントロールが示された。 経口血糖降下薬とインスリン製剤による治療で十分な血糖コントロールが得られていない患者210例を対象とした試験では、同剤(105例)とトレシーバ投与群(105例)について、ベースラインから26週までのHbA1cの変化量を検討した結果、トレシーバ投与群では-0.65%だったのに対し、同剤では-1.95%となった。26週間の低血糖および夜間低血糖の発現件数は両群で同程度だった。 また、経口血糖降下薬による治療で十分な血糖コントロールが得られていない患者819例を対象とした試験では、経口血糖降下薬の併用下で、同剤(275例)、トレシーバ(271例)、ビクトーザ(273例)について、ベースラインから52週までのHbA1cの変化量を検討した。結果は、同剤が-2.42%、トレシーバが-1.80%、ビクトーザが-1.80%だった。52週間の低血糖および夜間低血糖の発現件数は、同剤はトレシーバ群と比較して少なかった。シンプルな用量調整 少ない注射回数で治療効果を得られる
9月26日に開催された同社主催のプレスセミナーで、順天堂大学大学院医学研究科代謝内分泌内科学講座の綿田裕孝教授は、「インスリン製剤やGLP-1受容体作動薬は、優れた血糖降下作用を有する治療薬だが、低血糖、体重増加、消火器症状など、それぞれに課題を有している」との見方を示した。 「これらの薬剤の併用は、お互いを補い合う作用を期待できる治療法。ゾルトファイ配合注は、この2つの薬剤を1回の注射で投与可能な新しい2型糖尿病治療薬であり、国内臨床試験で良好な結果を得られている」と説明。 さらに「患者の視点からも、少ない注射回数で治療効果を得られ、Basalインスリン製剤と同様のシンプルな用量調整ができる点から、QOLやアドヒアランスの向上につながることが期待できる。Basalインスリンからの治療強化だけでなく、新規にインスリン製剤を開始する際の選択肢のひとつになる」との考えを示した。 「ゾルトファイ配合注 フレックスタッチ」概要販売名 (英文表記) | ゾルトファイ配合注 フレックスタッチ (Xultophycombination injection FlexTouch) |
一般名 (英文表記) | インスリン デグルデク〈遺伝子組換え〉/リラグルチド〈遺伝子組換え〉 (insulin degludec |
効能・効果 | インスリン療法が適応となる2型糖尿病 |
承認年月日 | 2019年6月18日 |
2019年9月4日 | |
薬価 | ゾルトファイ配合注 フレックスタッチ:5,359円/本(10月以降) |
発売日 | 2019年9月26日 |
製造販売元 | ノボ ノルディスク ファーマ株式会社 |
[Terahata / 日本医療・健康情報研究所]