DPP-4阻害薬「スイニー」にLDLコレステロール低下作用 スタチン服用中のハイリスク2型糖尿病患者で
2019.08.08
スタチンを服用しているハイリスクの2型糖尿病患者に、DPP-4阻害薬を1年間投与した臨床試験で、「スイニー(一般名:アナグリプチン)」に、血糖降下作用に加え、LDLコレステロールを減少させる作用があることが、兵庫医科大学や琉球大学の研究で明らかになった。2つの効果をもつ薬剤は合併症の多い患者の多剤服用の減少につながると期待される。
LDLコレステロールを減少させる作用がある糖尿病治療薬が判明
研究は、兵庫医科大学臨床疫学の森本剛教授、琉球大学大学院医学研究科臨床薬理学の植田真一郎教授らの研究グループによるもの。研究成果は「Scientific Reports」の電子版に掲載さた。 対象となったのは、スタチンを8週間以上服用中のハイリスク2型糖尿病患者。患者をランダムに2つのグループに分けて、「アナグリプチン」もしくは「シタグリプチン」をそれぞれ1年間投与した。投与開始から各グループの患者の血中LDLコレステロール値を3ヵ月ごとに計測し、またHbA1c値のあわせて分析した。 両剤ともDPP-4阻害薬であり、よく似た作用機序をもつにもかかわらず、「アナグリプチン」グループでは「シタグリプチン」グループよりもLDLコレステロール値が有意に低下した。 「アナグリプチン」グループでは3ヵ月目からLDLコレステロール値が低下し、評価期間の最後まで維持された。52週のLDLコレステロールの平均値は、「シタグリプチン」が111.7mg/dL(ベースラインからの変化量は+2.1mg/dL)だったのに対し、「アナグリプチン」は107.8mg/dL(同-3.7mg/dL)だった。管理目標であるHbA1c値はどちらのグループも良好な結果になった。[Terahata / 日本医療・健康情報研究所]