受動喫煙がCKDの発症を増やす 週に3日未満でもリスクは1.44倍に上昇

2019.04.04
 受動喫煙は慢性腎臓病(CKD)の有病率の上昇と関連があり、CKDの発症にも影響しているという研究を、韓国の仁荷大学校医学部が発表した。研究は「Clinical Journal of the American Society of Nephrology」のオンライン版に掲載された。

受動喫煙は明らかにCKD発症と関連している

 韓国の仁荷大学校医学部のJung Tak Park氏らは、韓国ゲノム疫学研究に2001~2014年に参加した13万1,196人(平均年齢53歳)を対象に、受動喫煙と慢性腎臓病(CKD)の関連について調査。被験者は全員ベースラインで腎機能が正常で喫煙習慣がなかった。

 平均104ヵ月の追跡期間中のCKDの発症率は16%。オッズ比を補正したところ、受動喫煙にされされている被験者はそうでない被験者に比べ、CKDの発症率が有意に高いことが明らかになった。

 平均8.7年の追跡期間中にCKDと新規に診断された1,948人を対象とした解析では、受動喫煙を経験していない被験者に比べ、オッズ比は受動喫煙を週に3日以上経験している被験者で1.72、3日未満の被験者で1.44だった。多変量解析によると、ハザード比は3日/週以上の被験者で1.66、3日/週未満の被験者で1.59だった。

 受動喫煙は糖尿病リスクも高める。中国の華中科技大学などの研究では、受動喫煙が常態化すると、2型糖尿病の発症リスクが22%増加することが示されている。

 「たばこ規制をめぐる法と政策が整備されているにもかかわらず、職場や家庭での受動喫煙は一般的によくみられる。受動喫煙の頻度が低い場合でも、明らかにCKD発症と関連していた」と、Park氏は述べている。

 「受動喫煙防止を強化し、家庭での喫煙の危険性についての教育プログラムを提供することで、CKDの発症リスクを低下できる可能性がある」と指摘している。

Secondhand smoke linked with higher kidney disease risk(American Society of Nephrology 2019年3月7日)
Secondhand Smoke and CKD(Clinical Journal of the American Society of Nephrology 2019年3月)
Smoking and diabetes risk: building a causal case with clinical implications(Lancet 2015年9月17日)

糖尿病・内分泌プラクティスWeb 糖尿病・内分泌医療の臨床現場をリードする電子ジャーナル

スポーツとメンタルヘルス関連ホルモン 骨格筋ホルモンの代謝への影響・関連
糖尿病合併高血圧のマネージメント CKD合併高血圧のマネージメント(生活習慣修正・降圧薬治療) 本態性高血圧と血管調節異常、神経調節異常、ナトリウム調節異常 内分泌性二次性高血圧アップデート
肥満の外科治療-減量・代謝改善手術の最新エビデンス- 甲状腺結節の診断・経過観察の最新エビデンス 原発性アルドステロン症治療の最新エビデンス
糖尿病の各薬剤を処方する時に最低限注意するポイント(経口薬) 糖尿病関連デジタルデバイスのエビデンスと使い方 血糖推移をみる際のポイント!~薬剤選択にどう生かすか~ 1型糖尿病の治療選択肢(インスリンポンプや持続血糖測定器など)
タンパク質とアミノ酸の代謝 脂質の代謝 糖代謝の調節機構

医薬品・医療機器・検査機器

糖尿病診療・療養指導で使用される製品を一覧で掲載。情報収集・整理にお役立てください。

一覧はこちら

最新ニュース記事

よく読まれている記事

関連情報・資料