司会:岩本安彦 先生(新百合ヶ丘総合病院 糖尿病センター センター長)
ご挨拶
糖尿病治療研究会代表幹事
森 豊 先生(東京慈恵会医科大学附属第三病院 糖尿病・代謝・内分泌内科教授)
日本では、糖尿病患者とその予備群を合計すると2,000万人を超えている。しかし、HbA1c値が6.5%以上、または、医療機関や健診で「糖尿病」と言われたことのある人のうち、「約4人に1人」が未治療の状態とされる。とくに40歳代男性では48.5%が治療を受けていない(2016年国民健康・栄養調査)。
糖尿病は、初期の段階では症状があまり出ないが、高血糖の状態が慢性化すると、のどの渇き、多飲・多尿、体重減少、疲れやすいといった症状が出てくる。この状態をさらに放置しておくと、糖尿病網膜症や糖尿病腎症、糖尿病神経障害といった細小血管合併症や、脳梗塞、心筋梗塞、動脈硬化症などの大血管障害とされる合併症を発症するようになる。
早期であれば多くの場合で、生活習慣の見直し、食事療法、運動療法を中心に治療することで、血糖コントロールを改善できる。糖尿病の治療薬も新しいタイプの薬剤が治療に使われている。
血糖値は1日のなかでも時間とともに変化し、食事の内容や量、運動やストレスなど、さまざまな要因で変動する。2型糖尿病の予防・治療では、まずは日頃からさまざまな事象により影響を受ける「血糖」に関心をもち、自らの「血糖値」を把握しておくことが重要だ。
糖尿病治療研究会は、血糖自己測定(SMBG)が提言されてから40年、またその健康保険適用から30年という節目の年に当たる2016年に、10月8日を「糖をはかる日」と定め、「血糖」に関する啓発活動を開始した。
「10月8日は、糖をはかる日」をきっかけとして、糖尿病患者さんに限らず、自分は健康だと考えている多くの人々にも「血糖の変化と健康との関わり」をもう一度考えてもらうために、血糖の変化に関する正しい知識を発信し、その認知向上・啓発に取り組んでいる。
糖をはかる日に合わせて「血糖値アップ・ダウン 写真投稿コンテスト2018」を実施。▼血糖値を考えた食事や間食の写真、▼血糖値を意識した生活習慣がわかる写真――などを募集した。優秀作品は下記ページで公開される予定だ。
講演1「働き盛りの血糖コントロール ―"働く"糖尿病患者さんの療養に役立つヒント ―」
浜野久美子 先生(関東労災病院 糖尿病内分泌内科部長)
● 糖尿病は早期発見・治療が重要である理由