「ランタスXR」の観察研究「X-STAR Study」 投与3ヵ月後の実臨床の有効性および安全性が示される
2018.05.29
第61回日本糖尿病学会年次学術集会
サノフィは、持効型溶解インスリンアナログ製剤「ランタスXR注ソロスター」(一般名:インスリン グラルギン(遺伝子組換え)、有効成分濃度:300U/mL)の投与3ヵ月時点での、12ヵ月間の使用成績調査(X-STAR Study)の解析結果を、5月に東京で開催された第61回日本糖尿病学会年次学術集会で発表した。
サノフィは、持効型溶解インスリンアナログ製剤「ランタスXR注ソロスター」(一般名:インスリン グラルギン(遺伝子組換え)、有効成分濃度:300U/mL)の投与3ヵ月時点での、12ヵ月間の使用成績調査(X-STAR Study)の解析結果を、5月に東京で開催された第61回日本糖尿病学会年次学術集会で発表した。
2型糖尿病患者でHbA1cを0.44%低下 インスリン未治療の2型糖尿病患者では1.5%低下
ランタスXRは、持効型溶解インスリンアナログ製剤「ランタス」(一般名:インスリン グラルギン(遺伝子組換え)、有効成分濃度:100U/mL)を進化させた新規基礎インスリン製剤。ランタスと同じ有効成分を有しながら、より緩徐な溶解プロセスにより、ランタスと比較して、より平坦かつ持続的な血中濃度および血糖降下作用の推移を示す。 「X-STAR Study」では、ランタスXRを新規に投与された糖尿病患者(基礎インスリン製剤未治療または他のインスリン製剤で治療中)を対象に、使用実態下での有効性および安全性を検討するためにデータを収集した。 今回の報告は、現在の治療で血糖コントロール不良の5,018例の1型および2型糖尿病患者のデータを対象としている。新規の基礎インスリン製剤投与でもっとも重要な時期である早期の有効性および安全性を評価するため、観察期間1年間のうちの投与後3ヵ月時の解析結果を報告した。 5,018例のうち、2型糖尿病患者は4,227例(84.2%)であり、70%以上が他のインスリン製剤(主に基礎インスリン製剤)からの切り替えだった。 2型糖尿病患者でのランタスXR投与開始時の平均HbA1cは8.46%、平均BMIは25.3だった。有効性評価項目であるHbA1cは、投与開始時に比べ最終評価時に0.44%有意に低下した(p<0.001)。また安全性に関しては、全観察期間において107例(2.5%)に低血糖が認められたが、新たな安全性の懸念は認められなかった。 さらに、2型糖尿病患者の中でインスリン未治療群を対象としたサブ解析においても、HbA1cは最終評価時において1.5%有意に低下し(p<0.001)、低血糖の発現は25例(2.2%)だった。 解析対象例全体でランタスXRの使用により血糖コントロールが改善し、新たな安全性上の懸念はみられず、投与初期での本剤の臨床効果と安全性が明らかになった。今回の解析結果は、過去の臨床試験結果(EDITION JP 1およびEDITION JP 2試験)と一貫している。 試験結果について、東京医科大学糖尿病・代謝・内分泌・リウマチ・膠原病内科学分野主任教授の小田原雅人氏は、「基礎インスリン治療においては、低血糖を含む安全性は特に導入初期において重視されます。今回の結果は、新規インスリン導入と他の基礎インスリン製剤からの切り替えにおいて、ランタスXRの有効性と安全性が実臨床で確認されたことを示しています」と述べている。 X-STAR Study調査 概要期間 | 2015年12月~2018年3月末(2年4ヵ月) |
対象患者 | ランタスXR注ソロスターを新規に投与された1型および2型糖尿病患者 |
対象薬 | ランタスXR注ソロスター(インスリン グラルギン450単位/1.5mL) |
使用実態下での前向き観察研究(製造販売後調査) | |
登録症例数 | 5,826例(2018年2月19日時点) |
観察期間 | 投与開始から1年間 |
項目 | 患者背景、本剤/前治療薬剤/併用薬剤の投与状況、臨床経過(HbA1c、空腹時血糖値、体重等)、副作用発現状況等 |
方法 | 中央登録方式(EDCによる調査)、2分冊(3ヵ月、12ヵ月) |
[Terahata / 日本医療・健康情報研究所]