糖尿病の根治療法として幹細胞治療への取り組みを強化 ES細胞株の開発にも着手 ノボ ノルディスク

2018.05.22
 ノボ ノルディスクは、幹細胞治療への取り組みを強化することを発表した。カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)との独占的協力を結び、ヒト胚性幹(ES)細胞株の開発に着手する。1型糖尿病に対する重点的な取り組みを、他の重篤な慢性疾患に拡大することも発表した。

多機能性幹細胞をβ細胞へ分化 非臨床での検証の段階に

 ノボ ノルディスクは、UCSFとの契約条項にもとづき、医薬品製造管理および品質管理基準(GMP)に準拠したヒトES細胞(hESC)株の作製を可能にする技術、ならびに将来的な再生医療治療に向けて、同細胞株の開発を進める権利を獲得した。5月初旬、両組織はUCSFに新たなGMP研究所を完成させ、幹細胞治療の開発における新たな品質基準を規定すると期待される細胞株を導出する。

 ノボ ノルディスクは20年にわたり、多機能性幹細胞をβ細胞へ分化させることに焦点を当てた研究に取り組んでおり、非臨床での検証を行う段階に達している。また、コーネル大学とも協力し、患者に移植したβ細胞を免疫系による攻撃から保護するカプセル封入デバイスの開発も進めている。最初の臨床試験は数年内に開始できると見込みだ。

 幹細胞治療分野は急速に成長しており、多くの疾患に対する新たな治療法を生み出す可能性がある。同社では、UCSFとの協力を通じたGMPグレードに準拠した幹細胞株の開発により、糖尿病だけでなくその他の重篤な慢性疾患にも重点的に取り組むことが可能になるとしている。

 「糖尿病の根治療法を発見することは目的のひとつで、幹細胞研究の進展と、安定しかつ高品質な細胞株の利用は、1型糖尿病患者さんの治療に対する希望を高めている。UCSFとの協力を通じ、他の重篤な慢性疾患治療を対象とする幹細胞治療の開発に向けた現在の、そして今後のパートナーシップが加速すると期待している」と、ノボ ノルディスク社のマッズ クロスゴー トムセン氏は述べている。

 また、Biolamina社(スウェーデンのバイオテクノロジー企業)とルンド大学とのパートナーシップを通じ、パーキンソン病を対象とする幹細胞治療の開発に向けた事業を開始した。

 さらに、Biolamina社とDUKE National University Singapore Medical Schoolとのパートナーシップでは、慢性心不全と加齢黄斑変性に焦点を当てた研究も実施している。

Novo Nordisk

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