欧米化が進む日本の糖尿病、待ったなしの肥満対策 田中 逸 先生
2016.11.01
糖尿病専門医による知見を集約した「糖尿病情報スクランブル」の「オピニオンリーダーによる糖尿病ガイダンス」では、田中 逸 先生(聖マリアンナ医科大学 代謝・内分泌内科教授 )による「日本人の糖尿病はどこまで欧米化するのか? ~待ったなしの肥満対策~」を公開しました。
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日本人の糖尿病はどこまで欧米化するのか?
~待ったなしの肥満対策~(本文より)
はじめに
それぞれの国の疾病構造は人種や環境によって変化します。2型糖尿病もその傾向が大きい疾患です。日本人患者さんの多くは欧米の患者さんほどには肥満していません。インスリン分泌力に余裕がないためにインスリン抵抗性をわずかしか代償できず、糖尿病域の高血糖を呈するようになってまでも太ることが困難だからです。この差は好発する血管障害の出方にも表れていて、インスリン抵抗性の関与が大きい心血管症はそれほど多くありません。
しかしこのような違いは既に過去形で語られるようになりつつあります。恐らく生活習慣の欧米化によるのであろう国民の肥満化傾向が、特に男性において顕著なことはご承知のとおりですし、糖尿病患者さんも同様に平均BMIが年々上昇してほぼ25に到達したことがJDDM研究から報告されています。
とすると、いずれ日本中の医療機関の待合室が、欧米人のような高度肥満の糖尿病患者さんでいっぱいになるような事態が起こるのでしょうか?
[dm-rg.net / 日本医療・健康情報研究所]